Kバレエカンパニー 熊川哲也さんの「ジゼル」を東京文化会館で観て来ました。
この演目は、辛く悲しくて、終わった後もしばらくは胸が締め付けられるような切なさが残ります。
それもストーリー、演出、音楽にもありますが、ジゼルの純真な愛を貫く姿、熊川氏によるアルブレヒト役
の情感こもる丁寧な表現力に由るところと思います。
氏による2001年の初演から何度も観せて頂いてますが、今回ほど生と死の境界を越えてのひたむきな
愛の重さに苦しさを感じたのは初めてで、「白鳥の湖」では自然と涙が出ますが「ジゼル」でこれほど
涙することがあったのかと思うほどでした。
そして第二幕の大好きな場面、精霊たちがアラベスクで少しづつ飛びながら左右から進んで列が
交差するのですが、後ろ足が水平にきれいに伸びたまま一糸乱れないのはKバレエだからこそなしえる
コール・ド・バレエの美しさは息をのむ美しさです。
そのあとに控える、熊川さんのバリエーションは言うまでもなくそのテクニックは圧巻でこの上ない
感動をもたらしてくれます。
初演から12年、4年ぶりの再演ですが演出、美術などバージョンアップされて益々見応えのある
作品になっていたのもリミットを感じさせない、これぞKバレエと思えます。
歳を重ねるにつれ幸いなことに多くの芸術に触れる機会が増えてきましたが、やっぱり私は熊川氏の
バレエ フィロソフィーが大好きと思えてならないのでした。