最後の夏の入り口に立っていたのは


ナイフを首にぶら下げたあなただった


その大きな瞳で睨んで



どこまでも澄んだ碧い目をしていた




放課後の学校



授業中にいじって没収されたスマホを取りに先生がいる生物準備室に向かった



ねる「あれ?ゆいぽんは?」



理佐「没収されたスマホ取りに行ったよ」




小林「失礼しまーす」





ドアを開けると、先生でなくスラッと長身で黒髪ショートの女の子が水槽を眺めていた





小林(かわいい)




そんな事を思いながら見惚れてしまった





小林「あ、先生もう帰えっちゃった?」





小林「私2組の、、、」




平手「小林由依さんだよね。先生からスマホ預かってるよ」




小林「わっ、ありがとう。よかった〜!」





小林「平手さんだよね?1組の?何してたの?」





平手「海を観てたの。ここから見るといい眺めだからさ」




うちの欅高校は、海と山に囲まれているから確かに自然が綺麗だ




夕日が海に沈みかけている





小林「いい眺めだね」





平手「ときどき、沖に行くとイルカの背びれが見れるんだ」





あの日、海を観ていた平手さんの目は、碧くどこまでも透き通って輝いて見えた




平手友梨奈の名前を知らない人はいない




学園1の美少女




ミステリアス





文武両道でなんでもできる完璧な人





あまりにも凄すぎてみんなから近寄り難い人





だから、1人でいる事が多い





寮に帰るとルームメイトで親友の渡邉理佐がバンッとドアを開けた




ねる「うわっ、ビックリした!!」




今驚いたのは、長濱ねる



同じルームメイトで高校の席が近くで仲良くなった




私達は、いつもこのトリオでいる事が多い





理佐「平手さんがこの部屋に来るらしい」





小林「え?」





理佐「はい、掃除するよ。お菓子とか漫画片付けて」




理佐は、ものすごい綺麗好きだ




小林「ハイッ」




ねる「あわわ、なんで急に」





理佐「なんか、愛佳と喧嘩したんだって」





ねる「何それ怖っ」





理佐「殴り合いしたって」





小林「えー!!」





平手「殴ってないよ」





小林「平手さん!」




平手の登場に驚いた




ねる「ほっぺ赤くなってるけど」





平手「これ、もなに頭突きされて、、、」




理佐「あちゃー、アイツすぐ手出すから」





平手「急にごめん。寮母さんに部屋変えてもらえってなって」




ねる「うんん、元々4人部屋だし。ベッド余ってるから大丈夫だよ」





理佐「由依の上のベッド使って」




平手「ありがとう」




学園1の美少女がうちの部屋に来た




しかも、私の真上で寝てる




そんな事考えていたら夜中の1時になっていた




流石に寝ないと




と思っていたら、ベッドから平手さんは降りて消えてしまった




トイレかな?って思ったけど外靴を持って窓から出て行ったし、なんか心配だ





私は、ベッドから起きてバレないように部屋から出て平手さんを追いかけた




小林「平手さん」




平手「!」





平手「、、、、何?」





平手は、ちょっとそっけない返事で返す





小林「あっ、ごめんね。夜中にいきなり抜け出したら心配になって」





小林「でも、これじゃストーカーみたいだよね」





平手「まさか、初日にバレちゃうなんてね」





平手「私、ときどき散歩してるの。眠れない時とかさ」





私と平手さんは、森の中を歩くと海岸が見えてきた




波がすごく穏やかだった




小林「私、夜の海初めて来た」




小林「凪いてるのに波の音が大きく感じる」




平手「そうだね。」




平手「私達2人だけの世界みたい」





小林「不思議な事起こりそう」





平手「、、、、」





平手「私ね、神さんを探してるの」





小林「神さん?」





平手「うん、この街の言い伝えで、神さんにお願い事すると願いが叶うって」





平手「私のおじいちゃんがこの海が大好きで、この海には神さんがいるからお願い事したら叶うって」



小林「叶ったの?」




平手「うん、今日叶った」




小林「へぇ、どんなお願い?」




平手「それは、教えない」




小林「えーケチ」




平手「ふふっ、ねえ由依って呼んでもいい?小林さんってなんか他所よそしくて」




小林「いいよ。えっと、、、平手さんはみんなからなんて呼ばれてるの?」




平手「そうだね、、、。クラスメイトにはテチって呼ばれてる」




小林「テチってかわいい名前だね」





平手「っ、、、ありがとう」




平手は、照れて俯いた





理佐「由依、由依!朝だよ」




小林「ん〜」




ねる「早く起きないと朝ごはん食べちゃうぞ」





小林「えー待って、、、」




夜更かしが仇にハマって寝不足だ



小林「痛っ」



平手は、小林にデコピンした




平手「ふふっ、おはよう由依」




テチは、私にデコピンした時、いたずらっ子のように嬉し気に笑っていた。

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ご視聴ありがとうございました