涼しげな目元と、チャイナドレスからのぞく太ももがセクシーなこの女性は大学の講師で、雑誌や広告のモデルとしても活動する王倩倩だ(ワン・チェンチェン)。
どことなく中国のトップ女優、范冰冰(ファン・ビンビン)にも似た容姿は、紛れもなく中国のイマドキの女性といった感じである。
しかし10年ほど前、彼女は中国で最もお堅い職業のひとつに就いた。2003年、陝西省の安康師範学校に在学中だった彼女は、倍率100倍という超難関を突破し、人民大会堂服務員の採用試験に合格したのである。
大会堂での規定では、職員は北京に入った後、必ず軍事訓練を受けなくてはならない。彼女も長年伸ばした髪を切って、訓練に参加。厳格な訓練を乗り越え、1年後に晴れて大会堂での業務に従事するようになった。
最初の任務は、大会堂内のテーブルを磨くこと。テーブルと椅子の上には糸くず一本すら残すことは許されず、会議が始まる前は、テーブルの上にあるメモ用紙、鉛筆、コースターとコップ、椅子と椅子の背もたれがすべて一直線上となることが求められた。当時の国家主席・胡錦濤や、首相の温家宝のテーブルも、彼女が整えたのだろうか。
また、服務員は全寮制で、携帯等を持つことも禁じられ、半ば軍隊のような規律の中で日々を過ごしたという。