STAP細胞論文問題で、理化学研究所は10日、4件の不正が認定された小保方(おぼかた)晴子・元研究員(31)について、懲戒委員会で「懲戒解雇相当」と判断されたと発表した。小保方氏は昨年12月に退職しており、実際の処分はできない。理研は小保方氏に対し、刑事告訴や不正に関係した研究費などの返還請求を検討していることを明らかにした。
理研の就業規定では、研究不正が認定された場合の処分を懲戒解雇か諭旨退職と定める。堤精史・理研人事部長は小保方氏を懲戒解雇相当と判断したことについて、「複数の不正が認定され、データ管理などもずさんだった。社会的影響の大きさも判断した」と説明した。小保方氏には10日、電子メールで通知した。
小保方氏が所属していた発生・再生科学総合研究センター(CDB、当時)の竹市雅俊・元センター長(現CDB特別顧問)は、管理上の不備などを理由に同規定の5段階の処分で最も軽い「けん責」とした。竹市氏は、給与の10分の1を3カ月自主返納するという。
また、共著者については、理研を離れている若山照彦・山梨大教授は出勤停止相当と判断し、理研客員研究員の委嘱を解いた。丹羽仁史・理研チームリーダーは懲戒処分ではない文書による厳重注意とした。自殺した笹井芳樹・元CDB副センター長は、どの処分に相当するかを判断したが、理研は「故人のため公表を控える」としている。
STAP細胞の論文不正では、理研調査委員会が昨年3月に2件の不正を認定。さらに同12月に新たに二つの図表の捏造(ねつぞう)が認定された。