特設注意市場銘柄に指定された場合、指定から1年後に内部管理体制確認書を提出し、内部管理体制などに改善の見込みがなくなったと東証が認めた場合、上場廃止になる。
30日に発表した14年4~12月期の連結決算は売上高が前年同期比6%増の9兆2930億円、営業利益が8%減の5397億円だった。- タカタ製エアバッグと主力車「フィット」という2つのリコール(回収・無償修理)問題がホンダを揺さぶっている。
- リコールに起因する販売減速とコスト増が重荷となり、2015年3月期は一転して連結営業減益になる見通し。
- 品質対応に手間取り、円安と北米好調という日本勢にとって最大の追い風も生かしきれていない。タカタも今期の最終赤字が300億円に拡大する見通しだ。
ホンダは今回、営業利益見通しを前期比4%減の7200億円に下方修正した。販売減(700億円程度)と品質関連費用の増加(500億円)が下振れ要因の大半を占め、いずれにもリコール問題が影を落とす。
直接的な影響はタカタのエアバッグ問題だ。- 昨年以降、米国を中心に社会問題化したのを受け、ホンダは不具合の原因を究明するための「調査リコール」を全世界に拡大すると決めた。
これに伴い10~12月期だけで約400万台を追加リコールし、品質関連コストが想定より約500億円膨らんだ。- ホンダは搭載車の約半分でタカタのエアバッグを使う最大の取引先。数十億円規模にとどまる他社よりダメージは大きい。
販売減も自社のリコールが引き金だ。- 世界戦略車として13年秋に「フィット」を発売したが、わずか1年強で5回ものリコールを迫られた。
- ハイブリッド車で先行するトヨタ自動車を追い上げようと開発を急いだ結果、「品質の検証が不十分だった」(市場関係者)との見方もある。
品質問題を拡大させないため、すべての新車投入を遅らせた結果、「国内で4万台の下振れ要因になった」。- 今期の国内販売計画は昨年秋時点より、さらに10万台引き下げ、販売減の主因となった。
本来なら、こうした逆風を好調な北米や円安を生かして乗り切るところ。だが、ホンダ固有の収益構造が追い風を小さくしている面がある。
為替変動に強い体質を目指し、海外生産シフトを徹底的に進めた結果、輸出比率は1割を切る。- 5割程度のトヨタや8割前後のマツダに比べ、足元の円安を収益増に結びつけにくくなっている。
- 収益源の北米では原油安を背景に利幅の厚いピックアップトラックなど大型車が人気だが、中小型車主体のホンダにとって恩恵は小さい。
こうした構造問題に2つのリコールが重なり、トヨタなどライバルとの収益格差は拡大傾向だ。