エリオット波動理論では、上昇相場においては上昇の5つの波と下降(下落)の3つの波の合計8つの波がその基本形となります。さらに分解すると、上昇の5つの波は3つの推進波と2つの調整波から成り立っており、下降3波は2つの推進波と1つの調整波から成り立ちます。
簡単に言葉を説明すると、推進波というのは、相場の大きな流れと同じ方向に動く流れの事を指し、調整波というのは、大きな波と逆の方向に進む波のことをさします。上昇5波の際の推進波は株価上昇、下降3波の場合の推進波は株価下落ということになります。
これらの波については「フィボナッチ数列」と呼ばれる数列に分解することができるというのがエリオット波動理論の基本となります。
フィボナッチ数列
フィボナッチ数列とは、13世紀の数学者である「レオナルド・フィボナッチ」が発見した数列で、「連続する二つの数字を足したものが次の数となるという数列」です。小さいところから数えると「1・2・3・5・8・13・21・34・55・89・144・233・377」という数字です。1+2=3、2+3=5というように計算できます。そして、このフィボナッチ数列には以下のような有名な特徴があります。
- フィボナッチ数列における任意の数を1つ前の数字で割ると「1.168」になる
- フィボナッチ数列における任意の数を1つ後ろの数字で割ると「0.618」になる
- フィボナッチ数列における任意の数を2つ後ろの数字で割ると「0.382」になる
- 0.618を二乗すると「0.382」になる。また1.168を二乗すると「2.618」になる
こうしたフィボナッチ数列における比率は「黄金比」と呼ばれており、自然界における様々な分布も詳しく調べると、これらの黄金比になっていることが多いとされています。例えば、「自然の木の枝の本数」「花の模様」「つがいとなる動物の比率」このほかにも、多くの美術品や工業製品などもこの比率でデザインされることが多く、人間が見ても調和のとれた形として認識することが多いようです。
フィボナッチ数列とエリオット波動理論
こうしたフィボナッチ数列による「0.382」「0.682」「2.618」といった黄金比については、エリオット波動理論で多く用いられています。
・第1波動
全ての上昇の基本を決める波動となります。一般的には値固めの時期にあるとされます。
・第2波動
第1波動の上昇に対する「0.382(38.2%)」または「0.618(61.8%)」の比率での調整波となります。3割戻しや半値戻し、6割戻しなどもエリオット波動理論と似ています。なお、エリオット波動理論では、第1波動の起点よりも下回ることはありません。
・第3波動
第1波動からみて「1.618倍」、「2.618倍」、「3倍」がその上昇の目処となる推進波です。第2波動の調整を抜けて、第1波動の高値をブレイクすることで、他のテクニカル分析でも多くの場合「買いシグナル」が点灯します。
・第4波動
第1波動の「1.618倍」、または第3波動の「0.382倍」「0.618倍」を調整する調整波となります。ただし、エリオット波動理論においては、第4波の調整が第1波の高値よりも上になっていると言う点が重要なポイントとして認識されます。
・第5波動
第1波の「0.382倍」、「0.5倍」、「0.618倍」または、第4波の「1.618倍」の上昇が目処となります。踏み上げ相場を作ることも多く、相場が大きく上昇しますが、出来高が株価上昇と比べて多くならないなど相場の天井を警告するシグナルを発することもあります。波の強さとしては第3波よりも強いことはありませんが、場合によっては急騰を見せることもあります。