商品先物取引はまぎれもなくハイリスク・ハイリターンな取引の代表格である。 そこには明確な理由がある。 それは取引を行なう際、代金全てが必要になるわけではなく、 『その一部を担保として預け入れるだけで取引が可能』というルールがあるからだ。 これを「証拠金(とりひきしょうこきん)」制度という。 例えば、「金(きん)」1gの価格が3,000円だったとする。 しかし商品先物取引では最低取引単位(これを“1枚”という)というものが決められており、 「金」の場合は1Kg(1000g)が最低取引単位となる。 普通に考えれば、「金」の取引を行なう場合、最低でも3,000円/g×1000g=300万円が 必要になるが、これはあくまで納会日に実際にお金とモノを交換する場合に必要となる金額。 先物取引の場合、取引を保証する担保金(=証拠金)を預け入れれば良い。 「金」の場合は1枚(=1Kg)あたり、なんと12万円を預け入れれば、 取引を開始することができるのである。 (この「証拠金」は取引所がモノや限月ごとに決めており、 その時期や価格帯によって変動することもある) 「証拠金」は取引終了後に返還されるが、その取引において損失が発生した場合、 その金額分が差し引かれて返還されるルールとなっている。 なぜこの「証拠金」制度がハイリスク・ハイリターンの理由になるのか…。 具体的に例を挙げながら説明してみよう。 3,000円/gの「金」を商品先物取引で1kg「買った」とした場合、 必要な証拠金は前述の通り12万円である。 その後、「3,000円/g → 3,060円/g」に値上がりしたところで取引を終了すれば、 手数料など諸経費を考慮しなければ、60円/g×1000g=6万円の利益となる。 つまり12万円の投資資金に対して、その50%(!)である6万円の利益が出たことになる。 300万円を支払って「金」の現物を手に入れた場合でも利益額は6万円となるが、 その利益率はわずか2%。 つまり圧倒的に少額の資金で大きな取引が可能となる「証拠金」制度は、 その分値上がりした場合、値下がりした場合の「投資金額に対する損益額の割合(%)」を 大きくするため、その制度を導入している商品先物取引はハイリスク・ハイリターンな取引と 位置付けられているのである。 |