Gunter Wand : Deutsches Symphonie - Orchester B.../PROFIL

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ブルックナー:交響曲第5番/キングレコード

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HMVでprofilレーベルが出していたヴァントとベルリン・ドイツ響によるボックスの分売が一枚あたり690円のセール価格で放出されている。あちこちで北ドイツ放送響以上の出来との声をきいていたので、ベートーヴェンとブルックナーの5番のアルバムを購入してみた。

 双方ともに評判通りの出来だった。北ドイツ放送響とのコンビは確かに文句なしに素晴らしかったけれど、ベルリン・ドイツ響とのコンビは機敏さに加えて重厚感が加わりより胸に響く。
 だが、自分が感銘を受けたのはヴァントが得意としていたブルックナーの中でも、一番の傑作とした5番のアルバムだ。ヴァントによるブルックナーの5番には北ドイツ放送響の他にベルリン・フィルとの名演がリリースされている。どれも他を圧倒する名演だ。あまりのレベルの高さゆえその優劣を決し難い。しかしである、このベルリンドイツ響とのブルックナーはそれらを超越した素晴らしい出来なのだ。
 まず耳につくのは音の粘りだ。ブルックナーの壮大な音楽が練りに練られた濃密な音のうねりによって紡がれていく。北ドイツ放送響で物足りなかった重厚感、ベルリンフィルで物足りなかった練度が、ベルリン・ドイツ響の演奏では完遂されている。
 またこの演奏はひとつの音絵巻だ。ヴァントの演奏によってひとつの音に意味が込められていることを気づかされたとよく評される。自分もそうだ。ヴァントの演奏によってブルックナーを絶対音楽としての真の価値を認識させられた。この演奏はそのブルックナー理解を一つ上の段階へと導く物語性を秘めているように思う。物語性いうと絶対音楽と相矛盾するようにきこえるかもしれないが、物語とはヴァントが楽譜から読み取った解釈のことだ。ヴァントの解釈はオーケストラとの連帯感が強いほど聴き手に伝わるはずであろう。自分にとっては北ドイツ放送響で伝わったと思っていたはずのヴァントからの解釈が、この演奏によってより具体的に届いたように感じた。

 いろいろと述べてきたが、久々にブログへと向かわせるに足る名演であると思う。なんといっても安い。これほどの名演がたったの690円で手に入るのだ。タワレコなら一部店頭で手に入る。絶対きかれることをおすすめする。