$ながてつ朝日堂

ご存知の通り、今年はドビュッシーの生誕150周年だ。クラシックCD業界はこういうアニバーサリイヤーに便乗して、様々な企画をたててくれる。特にユニバーサルとソニーのお買い得ボックスは、作曲家の全容を把握するのに大変良い。僕は毎年絶対買うようにしている。というわけで、これらのボックスについてコメントしておこうと思います。

 と、コメントを書こうと双方を俯瞰してみると、演奏家のバリエーションが大変豊富なことが目につく。たくさんの演奏家を知れるという意味でも、双方のボックスは評価されるべきかもしれない。ひとつひとつコメントしきることができないので、ざっくりと。

①ユニバーサルボックスについて

Debussy Edition/C. Debussy

¥4,031
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 ユニバーサルのボックスは箱がしっかりしているところがおすすめ。今までブラームス、シューマン、リストと発売されてきたが、ずらりと並べるとかっこいい。価格はソニーボックスより1000円近く高いが、18枚組4000円のCP(コストパフォーマンス)に不満はない。
 内容はユニバーサルらしく豪華。管弦楽曲は主にブーレーズとクリーブランド管をあてている。合理主義に貫かれたソニー時代のブーレーズと比べると若干人間味が増している。同じ指揮者だが年齢によって受ける印象が全く異なる典型例のひとつだろう。一方ギブソン、ベイヌム、ハイティンクなど1970年代以前の古い録音が収録されていたりもする。ピアノ曲はツィマーマン、ミケランジェリ、内田光子、コチシュなどの大御所がずらりと並んで壮観。グラモフォンとデッカを抱えるユニバーサルの専売特許だ。アバドのペリアスとメリザンドは、アバドが好きじゃないのでスルー。アンセルメのドビュッシーは定番。デッカの録音技術のマジックによって、異常なまでに美しい演奏に仕上がっている。デッカサウンドをぜひとも満喫してほしい。ソニーには入っていないガーディナーのドビュッシー唯一の合唱曲が気になる。
 
②ソニーボックスについて

Debussy Collection/Debussy Collection

¥2,148
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まずユニバーサルボックスより1000円近く安い18枚組2000円弱という破格の価格設定が魅力的なソニーボックス。
管弦楽曲はブーレーズとミュンシュが主だが、ティルソントーマスやヤノフスキあたりの微妙にマイナーな指揮者が収録されているところがポイント。弦楽四重奏曲が東京クァルテットなのも楽しみ。フルートが名手ジェームスゴールウェイなのは文句なし。ペリアスとメリザンドがブーレーズなのは鉄板。一方『聖セバスティアンの殉教』がティルソントーマスなのが僕的に一番楽しみ。この曲本当に良いんですよ。


どちらが良いと問われれば、箱の出来が良く、見栄えが良いユニバーサルか。内容は一長一短で、どちらか一方を選べと言われると困るところがある。
ちなみに大のドビュッシーファンである自分は両方買います!こんな最高のドビュッシー祭りに便乗しないにこしたことはない。持っておいて絶対損はないので、この機会にぜひ。