質問⇔回答ノート(2)
●講義系の学生にもマンガの投稿を行ったり、マンガ同人誌を発行
している方が居ます。椙山女学園大学にはマンガ愛好会が有り、
会の同人誌をもらったこともある。
したがって質問には、こんなものも有った。
「投稿時代にやっておいた方がいいというものはありますか?
アシスタントは経験した方がいいですか?
どうしたら、生き生きした面白いマンガが描けるようになりますか?」
ぼくはこう書いて答えています。
★投稿時代になすべきことは、あらゆる分野の小説を乱読すること
ですね。その中から自分の好みを見つけ、さらにその作家の全ての
作品を読むこと。
日本の最近のマンガのレベルが落ちてきたのは(絵はどんどん
ウマクなっているのに…)この、文学の勉強が不足してきているせい
だと考えます。
アシスタント経験は…むずかしい質問です。しないで済むなら、しな
い方がいい。腕が上がれば上がるほど、先生の(作品)むずかしい部分
をまかされるようになり、自分個人の作品を描く時間が減ってしまう。そ
の見返りとして収入が増え、新人マンガ家以上の収入が得られたりする
と、次第に自分自身の作品を描く動機が薄まってしまう危険がある。
プロの厳しい現場を1~2年だけでも見て体験し知るというなら、いいか
も知れません。
★生き生きとした作品を描くには―ーーやはり、自分が魅力的な人間に
なる、ということに尽きるのではないでしょうか。
プロということで言えば、どれだけ読者のことを考え、楽しませてあげら
れるか―ーです。自分が人にどれだけ奉仕できるかに掛かってきます。
「プロは自己完結するな」という、あるイラストレーターの言葉が記憶に
残っています。
「プロとは作品を描き直し書き直せる人のことだ」という有名シナリオ
ライターの言葉もキモに銘じています。
ぼくの『漫画に愛を叫んだ男たち』(清流出版)は、最初に書いた400字
900枚をほぼ半分に近い量に、修正削除した結果のの作品です。版元
社長の「半分にしてよ、値段の点で買いやすい本にするために」と言われ
たからです。読者の身になってみたら、確かにそうだと感じました。
●また「マンガ家になったら、東京に住んだ方がいいですか?」
確かに版元の集中度からいいますと、便利なのは間違いありません。し
かし最近は交通の利便性の向上や、通信テクノロジーの進歩で、地方在住
のプロの方が多くなりました。
優れた作品なら編集者はどんな遠方でも飛んで来る!いや飛んで来る
ような作品を描けばいいのです。(といっても、これはなかなか困難!)
手っ取り早く対応してくれる東京在住の作家を担当していた方が楽だ~
という安易なサラリーマン編集者も多いでしょう。しかし一方で「プロデュース
型」編集者もどんどん出てきています。
古くから地方に定住して活躍された作家さんには「志」を感じさせますね。
亡くなれてしまった青柳祐介さんなどがその典型。彼は最初は東京におら
れましたが、後に四国へ戻り優れた作品を描かれました。