ノート回覧で学生意識を探る(1) | マンガ・コース講師

ノート回覧で学生意識を探る(1)

●非常勤講師は週一、あるいは隔週でしか学生に出会えない。

これでは彼ら彼女たちの名前までを憶えるのは、到底無理である。

顔の印象しか残らないというのが実情だ。20名を越えるクラスを

3~4つ持つと、学校も違うし、混乱しかねないのです。

 講義をしっかり続けることが中心となり、質問や雑談の時間も

持てぬまま、次の大学へ移動せねばならない。そういう点で気を

配って、半期に2回も学生との飲み会を設定してくれたのは中京

大学でした。しかしそこへ全員が参加するわけではない。

 そこで、ぼくが考えたのは自由に記述してもらうノートを一冊、

回覧して、いろいろ書いてもらうことだった。


★「マンガに関することで、何か聞いておきたいことが有ったら、

自由に書いてみて下さい。無記名でどうぞ。」と書いたノートを

用意した。これを授業開始前に生徒に渡しておく。

 隔週で2コマずつの椙山女学園大学なら、10分休憩のときに

も書ける。これを2年間ほど実施し、学生の意識や考えを探った

のだ。学生たちが書いた質問例をすこしここに書いてみよう。


○先生がいままでに、泣くほど感動したマンガはありますか?

また、人間としてすごく勉強になったと思う作品は?

○現代のマンガは物語より絵を重視されている気がします。

先生はどうお考えでしょうか?

○トキワ荘時代の小話は有りませんか?たまに聞きたいです。

○ウナギイヌの誕生秘話を教えてください。

○出版社間の裏話や、マンガ家の笑える話しは?

○マンガ家として成功する人、しない人の違いなどはありますか?

○尊敬するマンガ家さんは居ますか?

~といった質問・疑問である。

このほか、ぼくの方からは、これまでどんなマンガを読んできたか

を書いてもらったこともある。


●質問には、帰宅時の新幹線車中などを利用して回答を書いた。

それを次の講義時に回覧し、また新たな質問等を書いてもらい

回収するのです。

 最初の質問には、こう答えている。

★職業的につい分析して読んでしまうので…なかなか泣けないの

ですが。そういう意味ではアマチュア時代に読んだ『ジャングル

大帝』の最終回がジーンときました。

 泣くというと―ーどうしても映画が多いです。古い時代のものふだ

と『ドクトルジバゴ』(デビッド・リーン)。台湾映画の『恋々風塵』も。

記録映画のように地味な作品だけれど、田舎の幼馴染の男女の

結ばれない恋が忘れられません。

 日本映画でこれと似た作品を探すとモノクロ時代の『野菊の如き

君なりき』(木下恵介)です。こちらはすこしロマンチックに描いてい

ます。

 勉強になるというか、勉強してみたい作品は『火の鳥』、『ブッダ』。

若い時はやはり手塚先生のライオンブックス・シリーズのSFなどが

好きだったな。