M署柔剣道部にて | 永田町駆け込み寺、暴力団対策、事件簿

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昔話です。
私はT署から都内のM署に転属になりました。
私は柔道5段でしたのでT署でも柔道部大将でしたが、M署でも私は大将として柔道部に迎え入れられました。

道場では柔道と剣道の稽古が行われていましたが、どういうわけか柔道部と剣道部の間柄が険悪、ではないですがあまりよくないのです。
道場では食事もでるのですが、柔道部は柔道部だけで食事をとり、剣道部は剣道部だけで食事をとっていました。
私は怪訝に思い、「いつもこうなんですか?」と助教に尋ねたところ、そうだ、と短い答えが返って来ました。

いくら柔道と剣道と別の部であっても同じ道場を使っている仲間です。
食事時くらいは一緒に食べてもいいと思いましたが。

そこで幾つか確認したところ、特に間柄を引き裂くような事件があったわけでもないようです。
その当時のM署の道場の食事というのは警察署の少ない予算から出ていましたので、ご飯と味噌汁、漬物とあと一品くらいがつくくらいで、お世辞にも豪勢とは程遠いものでした。

なので食事に魅力を感じられず、淡々とした食事になるのも仕方ないような状況でした。

わたしとしてはせっかくの道場ですから一緒に食事くらいできないと、とも思いましたし、たまには柔道部員と剣道部員が喜んで団結力がアップするような食事ができれば、と思いまして、助教と相談の上、一計を案じることにしました。

まずはM署の署長に掛け合い、「激励」と称して3000円を頂きました。
その後は副署長、各部の長などの幹部をまわって激励を集め、ある程度の激励金が集まりました。

激励金を集めたあとは車で築地市場に行って仕入れです。
刺身50人前を造ってもらい、デザートとしてスイカ数玉を買い込んでM署の道場に帰りました。

台所で食事の用意をしながら署長と激励を出していただきました幹部に電話をかけて昼食への参加をお願いしました。

そして昼食です。
いつもは平凡な昼食でしたが今日は違います。

食堂のボードには激励金の拠出として「署長 3000円、副署長2000円、・・・・」と書き、テーブル上には50人前の刺身のお造りが存在感大きく、テーブルを飾りました。

そして署長、副署長、各部の長に連絡をとって食堂に入ってもらいまして、柔道部員、剣道部員全員参加の豪勢な食事が始まりました。

今までのご飯と味噌汁、漬物とあと一品くらいがつく食事ではありません。
豪華な刺盛50人前をはじめとした豪華食事がついているのです。
嫌が上にも場は盛り上がりまして、大いに柔道部と剣道部の団結がアップし、その年の大会では柔道、剣道とも優勝することができました。

これはもう38年前のお話ではありますが、良い思い出のひとつです。

応援、よろしくお願いします。

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