東京チカラ飯はなぜ失速したのか?知的資産を磨かなかったツケ | 中小企業の知的資産経営と災害対策・BCP

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2011年6月に池袋に1号店を開店して以来、従来の”煮る”牛丼に対し”焼く”牛丼を旗印に、破竹の勢いで成長を続け、わずが2年で約130店まで店舗拡大した東京チカラ飯。
しかしこのところその人気に明らかなかげりが出ているようです。

お客の意見をtwitterで拾ってみると・・・
「脂っこい」
「ご飯がおいしくない」
「前の人の食器が片付けられていない」
「店員の人が疲れてる感じ」
などなど、飲食業としてだんだん不満が増えているようです。
業績的には2012年度の決算は純利益で赤字になっています。(会社の他事業も含む)

私は開業の年2011年に1回、そして2回目は今年行きました。
確かに2011年の当初から、「焼き」と言ってる割には油っこいなとは思いました。
しかし、焼く牛丼という発想は従来の牛丼チェーンとは明らかに異なり新鮮な印象でした。
マスコミも誉め称え、もしかしたらゼロサム市場の中で結構なシェアをとるのではないかとさえ感じたものです。

それなのにどうして今の失速を招いたのでしょうか。
それは、東京チカラ飯の差別化の源泉、中核の知的資産である、「焼き牛丼」を磨かなかったからにつきると思います。

マスコミに取り上げらた勢いに乗って急激に店舗を拡大するのですが、脂っこさ、ご飯の問題、店舗オペレーションの問題を解決しないままに拡大路線を走ったようです。
当初マスコミに派手に取り上げられ顧客の支持を得たのは、従来の牛丼御三家とは一線を画す、「焼き」という差別化が評価されたわけです。
しかしこの段階で焼き牛丼は完成されたものではなく、いくつかの欠点をもっていました。飲食業としての店舗オペレーションも店舗拡大に耐えられる完成度ではなかったのでしょう。
店舗拡大につれ、また2度3度と食べるにつれ、顧客の味や店への不満は蓄積されていったようです。
「焼き牛丼」という知的資産は衝撃でしたが欠点もあったわけですから、その改善をはかり、他社との差別化をより高めていくことを行なわなかったことが、今のつけになっているのでしょう。

今では松屋が焼き牛めしを、吉野家が牛焼き肉丼を出しています。店舗オペレーションが安定していて安心感のある両社に同等品をだされたことで、東京チカラ飯の知的資産は差別化の源泉にならなくなってしまいました。
その結果メニューも迷走気味です。今の東京チカラ飯のメニューをみると、焼き牛丼は後退し、客単価500-600円の油物系定食屋になっています。

東京チカラ飯メニュー