イラク特別委員会の閉会中審査。
すでに、14日に期限を迎えたイラクへの自衛隊派遣(を定めた基本計画)の期限延長は去る8日に閣議決定されている。
したがって、今日の国会審議は、政府の側からすれば、一応国会で議論しましたよ、という体裁を整えるだけのセレモニー。自衛隊の活動が終局を迎えていることや、出口戦略の詳細について詰めた議論はほとんど行われず、3時間15分のアリバイ工作は完了した。質疑者として登板の機会もなく、委員の一人としてなんとも歯がゆい思いで一杯だった。
ところで、わが党の細野議員や社民党の阿部知子議員が、イラクにおける大量破壊兵器の存在に関する誤情報を認め謝罪した最近のブッシュ大統領演説(や、1年前のブレア英国首相による同趣旨の謝罪)を引き合いに、日本政府の情報収集上の瑕疵について質したが、安倍官房長官は、暖簾に腕押し。逆に、ブッシュ大統領が戦争開始の正当性については譲らなかったことを引き合いに、それを支持した日本政府の判断に誤りはなかったと開き直った。

私は、米国の著名な保守派(政権内のパウエル国務長官や次期共和党大統領候補の一人ヘーゲル上院議員らを含む)やリアリストの国際政治学者たちと同様に、イラク開戦についてのブッシュ政権の判断は誤りだった(すなわち、あくまでも国連による査察の継続によって大量破壊兵器の不存在を明らかにすべきだった)と今でも信じているが、その戦争の後始末については、(民主党の基本方針とは異なるものの)日本も国際社会の責任ある一員として、自衛隊を含む応分の貢献をすべきだと考えてきた。

それでも、「大量破壊兵器の存在」という開戦の唯一最大の根拠が、開戦の当事者である米英の指導者から否定されるという新事態に直面したのだから、日本政府としても潔く、その点をめぐるわが国の情報収集能力(努力)不足についての遺憾の意の表明があってしかるべきだったと思う。それを認めたからといって、イラク戦後復興のための自衛隊派遣の根拠が総崩れになるわけでもないのに。

結局、イラクに関する情報は、米国のものを鵜呑みにしたのであるから、その真偽についてはまったく日本政府に責任はなかったと言わんばかり。「鵜呑み」したことに対する責任はまったく感じていないらしい。突っ張るのも良いが、これでは、今後、わが国が情報収集能力の向上に努めなければならない、という当たり前の結論すら私たち立法府と共有できないではないか。嘆かわしや・・・!