昨日の民主党代議士会における川端(助さん)国対委員長代理のコメントが、批判を浴びています。私自身も、党が2000万円もの経費をかけて「謝罪広告」を掲載する最中の発言にしては、不適切だったのではと感じました。もちろん、委員会を抜け出して結婚報告に官邸へ赴いたタイゾー議員の行為は決して許されるべきものではありませんが、それを今の私たちが言い募る資格があるのかどうか・・・。こういうことは、マスコミに任せておけばいいと率直に思います。

渡部(黄門)国対委員長の「起き上がり小法師」も、委員長として意気消沈する同僚議員を鼓舞する粋な計らいではあると思いますが(しかも、前原代表の小法師が立たなかったなどという苦笑するしかないオマケまで付いて・・・)、こういった「演出」で、党の信頼が回復するとはとうてい思えません。何度も繰り返しますが、いまは各委員会での審議を通じて、それぞれの国会議員が襟を正し、全力で政策論争を挑んでいくこと。地味だけれど、そういうことの積み重ねしかないと思っています。

そんな中で、明日、再び安全保障委員会の質疑に立ちます。米軍再編に関する集中審議です。渋る与党の筆頭理事をしつこく説得して実現させたものです。岩国の住民投票結果も出て、日米間の最終合意を目前に控えた大切な時期。とくに、沖縄の普天間基地移設問題に焦点を絞って、30分の質疑に臨みます。

もう一つ。誤解があってはいけないので、「国民投票法案」をめぐる国会の動きについて記しておきたいと思います。というのも、今朝の新聞各紙で、あたかも民主党内の意見集約が遅れているから、国民投票法案の審議が迷走しているかのような印象を与えかねない記事が出ていたからです。ここではっきりしておきたいのは、一部のアナクロ護憲論者を除いて、党内に、国民投票法案に対する否定的な意見は存在しません。なぜなら、憲法96条で明記された憲法改正の手続法である「国民投票法」が憲法制定と同時に立法化されていないこと自体が、立法府の怠慢に他ならないからです。

しかも、すでに衆院憲法特別委員会の理事懇談会を舞台に、自民、公明、民主3党の間で論点整理が進んでおり、(1)懸案だったメディア規制は、与党側が当初案を改めて「原則規制なし」で合意、(2)改正案を条文ごとで問うか一括で問うかについても「原則個別」で合意、(3)有権者年齢も民主党が主張する「18歳以上」に公明党が歩み寄りを見せているところなのです。

残るは、憲法改正に反対する共産党や社民党を含めた論点整理を、公開の憲法委員会の審議を通じて行い、国会としての意見集約を図ることです。改正には反対でも、手続法の制定を拒む理由はないはずですから。そのための環境整備をやっている最中に、いきなり、与党側が「幹事長会談」という曲玉を投げてきたので、民主党としては、「そういう密室談合のような話には乗りません。国民の関心も高く、国会審議という公開の場で正々堂々と議論していきましょう!」と突っぱねたというわけです。

最後に一つ。岩国市の住民投票については、私の出したコメント(http://www.dpj.or.jp/news/200603/20060313_02danwa.html)をお読みいただきたいのですが、一言でいえば、住民の意思を聞くことは大切ですが、住民投票を自分の選挙に利用しようとしている井原・岩国市長の姿勢は大いに疑問です。合併に伴う市長選のため19日にも失職する市長の下で強引に実施された住民投票が、新しい市長や市政をどこまで拘束するのか議論の分かれるところです。

私見では、沖合1キロ先に新たな滑走路をつくって、市街地に囲まれた厚木基地から空母艦載機を受け入れる現行案は、(もちろん、受け入れる住民の皆さんにとっては苦渋の選択だと思いますが)ぎりぎり納得できる案だと思っています。ちなみに、2年前に出した拙著改訂版『日米同盟の新しい設計図-変貌するアジアの米軍を見据えて』(日本評論社)では、この岩国移設問題はじめ米軍再編全体について概説した上で、持論を展開しておりますので、ご関心の向きはどうぞお読みください!

いずれにしても、政府は、住民意思を真摯に受け止めつつも、国家安全保障と我が国全体の利益を踏まえ、引き続き地元住民の説得に全力を尽くすべきです。