国連の人権理事会の理事国に日本が選出されました。
これだけなら、「ふーん」てなもんで特筆するものは何もありません。

国連人権理事会は、国連人権委員会(UNHRC)を格上げして新たに設立された国際連合の組織で、国際社会の人権状況を改善するため、深刻かつ組織的な人権侵害などに対処する常設の理事会です。今年の3月15日、国連総会において、賛成170、反対4、棄権3(ベラルーシ、イラン、ベネズエラ)の圧倒的多数で創設が決まったものです。そこで、一昨日、初代理事国の選挙が行われ、我が国は堂々の158票を集めて当選したのです。

ところが、その他の当選国を見て唖然。
中国、ロシア、キューバ、サウジアラビア・・・。悪い冗談ではないか!
韓国もめでたく当選しましたが、拉致問題解決に背を向ける今の政権がその資格を持っているかは甚だ疑問です。中国やサウジアラビアに至っては、アムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体からのブーイングが激しくなっているのもむべなるかな。プーティン大統領の下でますます強権政治が行われているロシアも当選資格があるとは思えません。これで、もう一つ、国際連合という組織の機能不全を印象付けられた感があります。

国連人権委員会は、長く緒方貞子さんがリーダーシップを発揮してこられた組織であり、そのアップグレードが行われることは歓迎すべきことです。しかし、その構成については、総会の投票ですから仕方ありませんが、せめて立候補資格を厳格化するなどの措置は必要だったのではないでしょうか。これによって、中朝国境に命からがら脱北してきた人々の強制送還を中国政府に働きかけられにくくなってしまっうのではないかと懸念します。人権委員会(当時)は、昨年、中国に非人道的な強制送還措置をやめるよう声明を発表していますから、この点で今回の改革がアップグレードではなく、ダウングレードにならないよう我が国としても理事国としてよくよく関心を払っていかねばならないと思います。

そういえば、来週、久しぶりに超党派の国連改革議連の会合が開かれます。アナン事務総長との昼食懇談会がセットされたのです。昨年、我が国は指し手を誤って国連改革イニシャティヴに失敗しましたが、常任理事国入りと共に、国連の非効率と腐敗と機能不全に対する改革の断行は待ったなしです。安倍(自民)・前原(民主)・高木(公明)の共同代表を中心に、山本一太幹事長、河野太郎(自民)、遠山(公明)、そして私(民主)の事務局長トリオで、再び国会における国連改革のモメンタムを盛り上げていかねばなりません。