今朝、今日から始まった「横田めぐみさん写真展」を訪れる。
昨年、有楽町マリオンで開催されたものを、朝日新聞社とあさがおの会(横田ご夫妻と同じマンション(川崎市)に住む住民有志の方でつくった支援グループ)共催で、地元立川の駅ビル内にあるギャラリーにて今日から10日まで再度開催することになったもの。昨年の会場に足を運ぶことができなかったので、待ち遠しくて11時のオープニングの少し前に会場に着いたが、すでに来場者(ほとんどが女性)でごった返していた。

どこの家庭にもある微笑ましいスナップの数々に胸が締め付けられる。多くの方がハンカチで目頭を押さえながらパネルに見入っていた。列車のシートに座っておどけたポーズを取る小学校3年生のめぐみさん、生まれたばかりの二人の双子の弟たちの頬にキスをする3歳のめぐみさん、新潟で迎えた初めての正月に着物姿でおすまし顔の小学校6年生のめぐみさん・・・、どこの家庭にもある平凡で平和な風景だ。

それだけに、なおさら、「拉致」という蛮行が、このどこにでもある平凡な家庭を突如襲ったことを如実に物語る写真集なのだ。どの写真にもご両親の愛情が惜しみなく降り注がれていた。13歳でこの最愛のご両親の前から忽然と姿を消してしまっためぐみさん・・・。同じ年頃の娘をもつ身として、なんとも言葉にならない悲しい思いに苛まれる。そして、来場者を奈落の底に突き落とす一枚の航空写真が。

その航空写真は、めぐみさんの自宅(拉致当時)付近を撮影したもの。そこには、①から⑤の地点が示されている。①は学校。「その日」は、2人の友人と一緒に家路についためぐみさん。②は最初の友人が別れた地点、③は二人目の友人がわかれた地点。そこからめぐみさんは独りぼっちになった。そこから⑤の自宅まで、徒歩で数分の距離だ。しかし、その間に④と付された地点がある。その地点こそ、めぐみさんが行方不明になった後の警察犬による捜索過程でめぐみさんの「匂い」が消えてしまった場所なのだ。そこから自宅までたった50メートル・・・。

その航空写真の横には、母・早紀恵さんが描かれた油絵のめぐみさん。早紀恵さんが、行方の知れない娘を待ち続け、張り裂けるような心情を紛らわすために描かれた作品だ。ここで一気に涙がこみ上げてきた。それは、同じような年頃の娘をもつ親の一人として、お母さまの心中を察して余りある同情とこの北朝鮮という国家による許しがたい蛮行に対する怒りの涙だ。この悪行許すまじ。そして、これまで四半世紀の間放置してきた政府に対する怒り。さらには、いまこの拉致問題を幕引きにして国交正常化後の利権を狙っている政治家たちに対する怒りだ。

今朝は、ちょうど、シン・ガンスという実行犯の名前が、複数の拉致被害者の口から明らかにされたとの報道がなされた。そして、午後には、横田さん親子はじめ拉致被害者家族会の皆さんが記者会見を開き、「事件の全容解明のため、北朝鮮にシン容疑者ら実行犯の引渡しを要求して欲しい」と日本政府に訴えられた。私たちとしても、この問題を脇に置いて、日本の国益にとってまったくメリットのない北朝鮮との国交正常化を急がせるわけにはいかない。これは、一首相の功名心で片付けられるような軽い問題ではない。

記者会見で、横田早紀恵さんは、シン容疑者が実行犯であることをすでに一昨年11月に曽我ひとみさんから聞かされていたこと、でも政府から口止めされていたこと、早紀恵さんとしては政府がこの件は外交カードとして温存しておく意図であったのだろうと解釈されたこと、などを切々と語っておられた。しかし、シン容疑者が韓国から北朝鮮へ送還されるかもしれないとの報に接したとき、外務省に「送還」差し止めの努力をお願いしたが、政府からまったくアクションがなかったのである。シン容疑者は堂々と北朝鮮へ帰還して、国家的英雄として歓呼の出迎えを受けたのである。無念ではないか!不条理ではないか!あってはならないことではないか!

「拉致問題の全面解決なくして国交正常化なし」
今日は、改めてこの原則を胸に刻む日となった。
通常国会が始まったら、ただちに特別委員会を開き、徹底的に政府の姿勢を追及するつもりだ。