産経新聞ウェッブ版(1月21日8時0分配信)

北川正恭早大大学院教授(前三重県知事)や宮崎県の東国原英夫知事らが20日、都内で記者会見し、次期衆院選に向けて真の改革を推進するための国民運動組織「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(略称・せんたく)を発足させたと発表した。2月上旬から活動を本格化させる。北川氏は次期衆院選での独自候補の擁立を否定したが、国民的知名度の高い東国原知事の参加により、今後、政界再編の呼び水となる可能性もある。

 「せんたく」は民間有識者で結成する「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)を母体とし、北川氏が発起人代表を務める。発起人には松沢成文神奈川県知事、山田啓二京都府知事、古川康佐賀県知事らのほか、財界から池田守男資生堂相談役、茂木友三郎キッコーマン会長、労働界から古賀伸明連合事務局長が名を連ねている。
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昨日行われた国民運動組織「せんたく」の設立記者会見は、何かデジャブー現象を見ているような気分だった。
15年前に「自由社会連合」を旗揚げした細川護熙氏、「平成維新の会」を立ち上げた大前研一氏は、既成政党による国政の閉塞感を打破しようと92年の春ごろから新しい政治潮流を模索していたが、前者はストレートに政党「日本新党」を立ち上げ、後者は市民運動を志向した。とくに「生活者主権」という理念を鮮明にぶブチ上げた大前氏の先見性は目を見張るものがあった。

当時、私は、長妻昭君(ご存知「ミスター年金」!)や風間直樹君(現民主党参議院議員)や茂木敏充さん(現自民党衆議院議員)三浦博史さん(今や著名な選挙プランナー)らとともに、大前さんの改革運動に身を投じていた。その「平成維新の会」旗揚げの記者会見と昨日の「せんたく」のそれは瓜二つ。感慨深くニュース報道に見入ってしまったが、「これは、もしかしたら次期総選挙の流れを決めるかもしれない」と直感した。

とくに、起点とされた「地域主権・生活者主権」の理念は、ともに平成維新運動の二本柱。15年の歳月を経て、いま再び、というか今度こそ、国民の思いをストレートに代弁することになるかもしれない。「せんたく」が発信する地方からのメッセージは、江戸幕府を追い詰めた幕末の「雄藩連合」に似る。「日本を今一度洗濯致し申し候こと」という坂本竜馬の言葉(姉乙女に宛てた手紙の一節)と政権選択を引っ掛けて「せんたく」と命名された地方発の国民運動と連動して政局ごっこに明け暮れる国政の閉塞感を打ち破ることは、一人ひとりの政治家にとっても意義深いことである。

ぜひ、彼らには、道路特定財源の一般財源化、暫定税率の廃止、環境税の創設という「聖域なきの構造改革」の本丸に向け、地方から正論の狼煙を上げてもらいたい。