統一地方選の後半戦開幕。
地元の市議選に一日汗を流す。
こうして地方選挙の応援をしていても頭から離れないのは、政権交代可能な野党とは何か。

先週号の『ダイヤモンド』に、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが都知事選について鋭い分析コラムを寄せている。

石原陣営の「反省しろよ慎太郎。だけどやっぱり慎太郎」というキャッチコピーは、「もう一回チャンスを与えようかという気持ちにさせる不思議な説得力がある」と評価。同感だ。

一方、浅野候補は街頭で「失われた8年」と訴えた。これでは「前回、石原氏に投票した300万都民の神経を逆なでする。「あんたたちの目は節穴でした」とケンかを売っているようなもの」と。これも同感。

では、どう言うべきだったか。
二宮さんの考えたキャッチコピーを見て思わず膝を打った。

「ありがとう慎太郎、さらば慎太郎、次は任せろ!」

残念ながら、浅野氏の周りには、そんなウィットのきいた前向きな明るいコピーを考えられるような雰囲気は微塵もなかったようだ。とにかく鬼畜米英ばりの「憎き石原め!」という空気が充満していたのだろう。それは、選対幹部の目を曇らせ、そのまま有権者意識からの乖離を生んでしまった。

民主党は、国政でも同じ過ちを犯してないだろうか。我々は、口を開けば、与党による数の横暴、安倍政権の強権政治と批判する。しかし、国民から見れば、(しまった勝たせ過ぎた!とは思っていても)選挙で選んだ与党が多数決で法案を通して、それが強権てどういうことかいな?「有権者の選択は間違っている」ってケンか売ってんのかい?・・・ということなのではないか。

だから、常々言ってきたように、政権交代可能な野党の姿勢は、「YES, BUT...」なのだろう。二宮さんのコラムはそのことを雄弁に示唆していると思う。

小泉の構造改革も、地方分権も、安倍の再チャレンジも、憲法改正も、日米同盟重視も、方向性としては、まぎれもなく「YES」ではないのか! そうであるなら、議論の入り口で「NO!」と仁王立ちしていないで、「BUT...」と切り替えして、民主党が目指す真の改革路線を訴えればよいではないか!

そこから格差を是正するためのセーフティネットの張り直しの議論になるし、そこから日米同盟とアジア外交を両立させる新たな外交安保戦略の議論に入っていける。安倍政権より、生活感があって、大局観があって、有権者の実態を知り尽くしているのだ、というのであれば、議論の入り口で「NO!」の横断幕を広げてピケなど張っていないで、「YES」と正面から受け止め、「BUT」と切り替えして議論の中身に入って堂々と勝負しようではないか!

そして、7月の参議院選挙では、「不良債権もなくなったし、主張する外交も展開できた、小泉さん、安倍さんありがとう。(でも時代的役割を終えた)自民党よ、さらば。後は我々に任せろ!」と自信を持って叫ぼうではないか。有権者もそんな前向きなメッセージを民主党に期待しているのではないだろうか。