7月11日に示された国民の審判は、たいへん厳しいものでした。私たちは、今回の敗北を正面から受け止めて、謙虚に、かつ迅速に党再生の作業に取り組まねばなりません。それにしても、敗北の原因について、的外れな分析が行われていることに深刻な危惧を抱かざるを得ません。それは、「菅総理の消費税発言のせいで負けたのだ」といった皮相的な見方に象徴されます。

たしかに、菅総理自らが認めているように、消費税増税の(ための与野党協議の)提案は、唐突であったかもしれません。その後の軽減税率の基準をめぐる発言のブレが国民の目にはいかにも泥縄式に映ったでしょう。しかしながら、「選挙の前に消費税の話なんか持ち出すから、負けた」なんてことを言っているうちは、党の再生も、政権の安定もありえないと思います。


真の敗因は、「民主党」からの逸脱
敗北の真の原因は、政権交代から10カ月間に露呈した民主党政権の実態そのものにあると自覚せねばなりません。それは、「普天間問題で迷走してしまった」などという次元の話ではない。初めて政権を担うわけですから、多少のドタバタや混乱は国民としても想定内だったはずです。それよりも何よりも深刻な問題は、民主党が「改革政党」として譲ってはならない一線を超えて、本来の軌道を完璧に逸脱してしまったこと。もっとズバリ言えば、権力(維持)の前に、大事なだいじな「改革の魂」を売り渡してしまったように国民の目に映ったことにあるのではないでしょうか。


旧い自民党より醜い民主党にNO!
民主党が与党になって最初にしたことは、政策調査会の廃止でした。政権奪取の志に燃えた議員同士で侃々諤々の議論を重ね、官僚の手を一切借りずに議員立法をつくってきた「改革の本丸」をあっさり放棄したことは、その後の支持率低落を象徴する出来事でした。しかも、幹事長室に全国からの陳情を集中させ、公共事業の個所付け情報を自民党時代にもなかったような露骨な形で自治体に漏らした事件は、衝撃的でした。そして、極めつけだったのが、通常国会終盤の「強行採決の嵐」でした。郵政改革法案に至っては衆院での審議時間たったの6時間。前代未聞の議論封殺に手を染めてしまったのです。ほんの3年前の参院選の時、あれほど安倍政権下に続発した強行採決を非難した民主党が、権力を取った瞬間にここまで堕落するものか、そう多くの国民が失望したに違いありません。


「日本の洗濯」を叫ぶ前に、まず自分たちの顔を洗って出直そう!
加えて、政権担当能力をめぐっては、社民党や国民新党といった小政党に振り回され、政治とカネの問題に決着をつけられず、中国副主席の訪日に当たって皇室を軽視するがごときに振る舞い、普天間問題で同盟国アメリカとの関係を悪化させ、せっかくの「事業仕分け」による税金無駄遣い撲滅に向けた実績を台無しにしてしまいました。結局、民主党は何がしたかったのか? 民主党政権は国民生活に何をもたらしたいのか? この国の将来をどうやって切り開いていこうとしているのか? これら政権交代の原点が、いま揺らいでしまっている。このことを私たちが自覚し、「日本を今一度洗濯致し申し候こと」(坂本竜馬)などと格好のいいことを言う前に、まず自分たちこそ「顔を洗って出直す」必要があると痛感します。


「強い財政」「強い社会保障」のためには、まず「強い経済」
そして、私たちがやるべき事は何か。まず第一に、昨年夏の公約通り、税金の無駄遣い撲滅を中心に徹底的な歳出削減・行政スリム化の努力を傾ける。これが「強い財政」の基礎。第二に、社会保障の抜本的な改革の姿を与野党で協議する。これが「強い社会保障」構築につながる唯一の道。そして、第三に、しかも最も重要なのは、経済成長戦略の具体化です。「強い経済」なくして、健全な財政も、安心の社会保障も成り立つはずがありません。自民党政権下で約20年低迷を続けた日本経済をもう一度復活させ、持続可能な成長軌道に乗せるためには、環境エネルギー分野をはじめとする我が国の革新的技術によって、本格的なグリーン・エコノミーに基づく世界的な産業構造の大転換の先頭に立つのです。次の総選挙までに残された最大3年間、私たちは、寝食を忘れ、昼夜を分かたずこのことに没頭せねばなりません。


自分たちの国は自分たちで守る!
その中で私は、防衛政務官として、10年に一度の『防衛計画の大綱』見直しに全力で取り組み、今回の普天間騒動で露呈した我が国独自の抑止体制の不備を挽回しうる責任ある防衛力の整備に向けての第一歩を踏み出してまいります。「自分たちの国は自分たちで守る」という主権国家としての気概を示してこそ、アメリカに対して堂々とモノが言えるようになるのです。このことによってしか、沖縄問題の真の解決はありえません。全力で頑張ります!