昨晩、報道ステーションが、千葉補選翌朝の駅頭の様子を報道していました。
当選した太田さんとともに、同じ駅頭に落選した斎藤健さんも立っていました。
6年前のあの朝を思い出し、思わず目頭が熱くなりました。
敗北の翌朝に駅頭に立つことの難しさは、同じく補欠選挙に敗れ、失意の中で駅頭に立ち、有権者に対する感謝と捲土重来への決意を訴えた経験から身に染みて感じられるのです。

斎藤さん、深夜の「敗戦の弁」から恐らく一睡もできなかったことでしょう。
当選翌日のさわやかな朝を迎え胸を張って御礼挨拶をしている太田さんのわずか数メートルの距離で、ただただ頭を下げ続けた斎藤さんの心中はいかばかりであったでしょうか。でも、じつに良い表情をされてました。選挙報道で見た選挙用の「にやけ笑顔」なんかよりも数段引き締まった政治家の表情をしていました。

私の時もそうでしたが、行き交う方々の視線は選挙戦の最中よりも優しく温かいものだったに違いありません。時折、「がんばれよ!」と激励してくださる方々も多かったことでしょう。あの選挙区に残って再起を期すのかどうかわかりませんが、斎藤さんにはぜひとも初志貫徹していただきたいと思います。

さて、中韓両国との海洋権益をめぐる熾烈なつばぜり合いが続いています。韓国側とは、次官級協議で妥結し紛争を回避することができましたし、中国も(いささか眉唾物ではありますが)海事局の「技術的な誤り」ということで航行通告の作業範囲を修正し落着しました。

しかし、根本的な問題は何一つ解決されず先送りされただけですから、遠からず再燃するに違いありません。我が国としては、(北方領土を含め)3つの領土問題の解決という最終ゴールを明確にして、粘り強く交渉し続けると同時に、国際社会に対する執拗なアピールを繰り返していく必要があります。

韓国との関係でいえば、(1)我が国の竹島領有は国際法上も正当なものであること、(2)しかし、日本(島根県)による「竹島領有」公示が朝鮮半島植民地支配の嚆矢だったという歴史的事実および韓国国民の被害感情(といっても、国際関係ですから自国の独立を維持できなかった当時の韓国(朝鮮国)政府の責任は免れないので、一方的に我が国が加害国、韓国が被害国というのは短絡的に過ぎますが・・・)という2つの点に鑑み、少なくとも、1952年1月以来の韓国による竹島不法占拠状態を終了させ、竹島を無人島であった元々の状態に復旧し、竹島を挟む日韓両国EEZの「中間線」を両国で確定することが、現実的な「落としどころ」、つまり日本外交のゴールではないでしょうか。その上で、韓国が独島を韓国領と主張し、我が国が竹島を日本領と主張することについては、お互い目くじらを立てない、という成熟した関係を築くべきだと考えます。

そういう関係を構築するためにも、国際法上認められているEEZ内における海洋の科学的調査の権利や、政府公船(たとえば、海上保安庁の船)に対する実力行使は国際法上認められないといた基本的な事柄を、国内法のかたちで整備する必要があると思います。その点で、我が党が議員立法として提出している海洋権益保護に関する2法案の早期成立を図らなければなりません。この法案は、同僚の細野豪志議員と一緒に取り組み、自民党の武見参議院議員が座長を務める海洋権益チームとの間で共同提案を模索してきたものですが、詳しくは、http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/gaimu/BOX_GAI0063.htmlをご覧ください。

また、中国との関係では、我が国の尖閣諸島に対する領有権も実効支配も国際法上確立されたものであることから、日中EEZの中間線を確定し、その両側での海底資源の共同開発水域を設定することが、外交上のゴールとなると思います。これは、我が国としては最大限の譲歩であり、国民の間からは「妥協するな!」との批判を浴びるでしょうが、この辺が現実的な落としどころではないでしょうか。なぜなら、これまでの日本側の不作為によりすでに中間線の中国側において本格的なガス油田の開発およびパイプラインの敷設が進められていることも考慮しなくてはなりません。

それでも、今回の「航行通告ミス」のみならず、日中共同開発水域を尖閣諸島近海に設定する提案をしてきたり、まさに厚顔無恥ともいうべき挑発的な行動を繰り返す中国側との交渉は、このような現実的な解決策を実現することにおいてすら困難を極めるでしょう。日本政府としては、外相の発言と経産相の発言が食い違うなどといった初歩的な欠陥を是正して、海洋権益をめぐる中国との外交交渉の窓口を一元化して事にあたる体制を整えることが喫緊の課題だと思います。

最後に付言しておかねばならないのは、東シナ海および西太平洋における中国艦船の活動が、最終的には海洋権益といった経済的利益を超えて、安全保障に関わる問題だという認識です。つまり、いかに中国側の洋上・海底における軍事活動を牽制するかが我が国にとって死活的な課題なのであって、単なる資源獲得競争に目を奪われてはならないと思います。したがって、この分野での日米協力の促進は、台湾海峡をめぐる現状維持とともに、この海域にシーレーンを求めている我が国の生存と繁栄に直結する安全保障上の最重要課題です。