激烈な代表選を制して、9月17日に発足した菅改造内閣。民主党政権は厳しい内外情勢の中2年目に突入しました。急激な円高・株安に見舞われる一方、尖閣諸島をめぐり日中関係は深刻な状況に陥っています。この1年日米同盟の足を引っ張り続けた普天間問題を打開する糸口はいまだに見出せません。10月1日から始まる臨時国会は、衆参「ねじれ」状況に直面し困難な国会運営が予測されます。組閣や党人事を通じて何としても挙党体制を確立して、厳しさを増すであろう野党の追及に立ち向かって行かねばなりません。


防衛大臣政務官としての1年を振り返る

そんな中で、私は丸1年務めさせていただいた防衛大臣政務官を退任、今後は党務に汗を流すことになりました。この一年を振り返れば、激動の日々でした。就任早々、普天間問題の打開のためにワシントンへ飛び、ホワイトハウスで安全保障担当の大統領補佐官ジェームズ・ジョーンズ米海兵隊退役大将と会談したのを始め米国政府高官と議論し、普天間問題の解決のみならず日米同盟を深化させる共同作業に取り掛かることに合意することができました。しかし、その後、普天間問題で日本側が迷走してしまい、同盟深化の議論が滞ってしまったことは痛恨の極みです。今回の尖閣をめぐる中国の外交攻勢は、明らかに日米同盟動揺の間隙を突いてきているのに違いありません。同盟の立て直しは焦眉の急です。


日韓の安全保障協力深化に道筋

さらに、在任中に力を注いだのが、韓国との安全保障協力の深化です。半島分断以来いまほど朝鮮半島が不安定に陥っている時期はありません。この間3度訪韓し、玄仁澤統一部長官など李明博政権で閣僚になった旧知の友人たちと協議を重ね、朝鮮半島有事における日韓協力の道筋をつけることができました。日韓はそれぞれ米国との同盟関係があり、半島有事への備えは万全ですが、歴史問題などで翻弄され日韓の安保協力だけがほとんど進展して来なかったのです。3月の韓国哨戒艦撃沈事件を受けての米韓合同軍事演習に、我が海上自衛隊の佐官クラスがオブザーバーで招待されたことは、安保協力深化に向けた画期的な出来事といえます。


5年に一度の『防衛計画の大綱』見直しに全力を注ぐ

そして、退任直前まで力を注いできたのが、『防衛計画の大綱』見直し作業でした。5年ぶりに見直される防衛大綱は、我が国をとりまく安全保障環境の変化を捉え、今後10-15年を見据えた防衛力整備の方向性を決定する最も重要な政府文書の一つです。近年著しい中国の海洋進出に対して、明らかに手薄になっている南西方面(沖縄を含む)の防衛態勢をどのようにして強化するか、今般の尖閣問題を大きな教訓として、年末までにきちんとした政府方針を決定しなければなりません。幸い、党の政策調査会に新設される「外交・安全保障調査会」の事務局長に内定しましたので、今後は党内論議を通じて、官邸を中心に進められる政府の大綱見直し作業へのサポートを強化して行きたいと考えます。


「国民の生活を守る」ため、積極果敢な「攻めの経済政策」を!

いずれにせよ、菅政権は、100年に一度の改革政権であることを自覚し、行政機構全般の改革はもとより、何といっても疲弊した国力の回復に全力を挙げねばなりません。「強い経済」なくして「強い財政」も「強い社会保障」も覚束ないからです。円高に対する適切な措置は必要ですが、為替レートの強みを活かして海外の資源エネルギー開発や先進的な環境技術などに思い切った投資をするチャンス到来と見ることもできるはずです。国民生活を守るためには「攻めの経済政策」を総動員して行かねばなりません。今後ともご支援のほどよろしくお願いします。