去る10月2日、1年余務めてきた外交安全保障担当の内閣総理大臣補佐官を退任し、約2年ぶりに防衛省へ戻り、副大臣として森本敏防衛大臣をお支えしつつ陸海空自衛隊を統括する任にあたることとなりました。2日の夕刻、皇居において、天皇陛下より認証官としての官記を授与され直接お言葉を賜り、感激と共に改めてその職責の重大さを痛感しました。

試行錯誤の連続も、充実した総理補佐官の日々
振り返れば、13か月に及ぶ総理補佐官の仕事は試行錯誤の繰り返しでしたが、総理を援け官邸を中心とした外交安保政策の推進に力を注ぎました。日々反省の連続とはいえ、いくつかの成果も挙げてきたと自負しています。たとえば、昨年末の官房長官談話による武器輸出三原則の緩和措置は、1976年以来約40年ぶりの政策転換です。また、一時期動揺を来した日米同盟を立て直し、4月末のワシントンでの日米首脳会談では、日米安保協力の射程を日本およびその周辺から、アジア太平洋・インド洋地域へ、宇宙から、海洋、サイバー空間へと拡大するとともに、日米の任務、役割、能力分担をさらに深化させる合意を実現しました。また、TPPへの参加表明や海洋秩序づくりの提案など、これまでともすれば受け身になりがちだった戦後日本の外交姿勢を抜本的に転換しました。最後の局面では、日中関係に深刻な緊張が走りましたが、懸案だった尖閣諸島の「所有権移転(国有化)」も実現しました。今後は、事態をこれ以上エスカレートさせることなく、多少時間がかかることを覚悟の上で、両国の戦略的利益(短期的な利害得失に目を奪われることなく、中長期的な視野でアジアの両雄関係を発展させていく利益の共有)に基づいた「新たな日中関係」を構築して行くべく努力してまいります。

国防予算の増額と日米同盟の深化こそ、わが使命
さて、防衛副大臣としての最大の使命は、改めて言うまでもなく、国民の生命財産を守り、主権と国土、領海を護り、国益、すなわち国家の生存と繁栄を保障することです。そのためにも、自民党政権以来11年連続で減少してきた国防予算を増額に反転させることが、先ず何よりも喫緊の課題です。2年前、党の外交安全保障調査会事務局長として策定に関わった防衛計画の大綱に盛り込まれた南西方面における防衛態勢の強化を中核とする「動的防衛力」の整備を実行に移すためにも、必要な予算を確保することが求められます。現下の厳しい周辺情勢に鑑み、またしても予算削減などという事態に陥れば、それこそ世界の笑いものになるでしょう。軍備増強に走る周辺諸国には侮られ、同盟国アメリカからも自助努力の本気度を疑われかねません。また、日米同盟の健全な発展のためには、オスプレイの配備が開始された普天間基地の移設を加速させ、併せて米海兵隊のグアム移転に伴う嘉手納基地以南の土地の返還を推進し、沖縄の皆さんの負担を目に見える形で軽減して行くことも、私たちに課せられた重要な使命です。

解散総選挙を恐れず、職責を全うする決意
いずれにせよ、第3次改造野田内閣は、「近いうちに民意を問う」政権ですので、私に残された時間は限られています。一日一日に全身全霊全力を傾けて国防の任務に邁進してまいります。