共同通信(2006年11月4日)の記事より

(引用はじめ)
麻生、中川両氏の更迭要求 核保有論議で志位氏
 共産党の志位和夫委員長は4日午後、都内で開いた「赤旗まつり」で講演し、麻生太郎外相や中川昭一自民党政調会長の核保有論議を容認する発言について「言語道断だ。内外から厳しい批判があっても(発言を)やめないなら、辞めてもらうしかない」と述べ、麻生氏らの更迭を求めていく考えを示した。
 講演後、志位氏は記者団に「両氏は政府、与党の中枢人物だ。予算委員会の開催を要求し、徹底的に審議する必要がある」と述べ、他の野党と連携して集中審議を含め予算委員会の開催を求めていく方針を明らかにした。
(引用終わり)

沖縄の県知事選で、民主党が共産・社民党と相乗りで非自公推薦候補を擁立していることはすでに書きました。その関係で、社民党の福島党首が小沢代表に電話をかけてきて、野党共闘を尊重し「防衛庁の省移行法案に反対して欲しい」と要請したという報道記事も読みました。今度は、核保有をめぐる一連の発言で共産党の志位委員長から外相罷免要求の共同戦線の申し入れです。

まさか、我が党の執行部がこれらの誘いに簡単に乗るまいと信じていますが、党の主体性を喪失してまで野党共闘を優先させるのは、明らかに「数の論理」(といっても過半数に達するわけではありません)であって、政策協定に基づく連携とは異質です。基本政策は政党にとって命です。「国防の任にあたる役所が内閣府の位置外局であってよいはずがなく、きちんと国家機構の中に位置づけるべし」との正論は、まさに小沢代表のかねてからの持論であり、民主党の大半の議員が支持する基本政策です。それを一時の野党共闘でうやむやにすることは政党として自殺行為に等しいと思います。

核保有発言は、余りにも無責任な暴論だということは、前回のエントリーにも書きましたし、2日の衆院安全保障委員会での久間防衛庁長官との質疑を通じても明らかにしました。しかし、麻生外相の一連の発言は、野党の質問に対して「国民の間で議論はあってよい。そういった議論を封殺するのはいかがなものか」と述べているのであって、中川自民党政調会長のように、自ら進んで、あらゆる機会を捉えて積極的な発言を繰り返しているとは次元を異にします。私自身、国会で堂々と議論して、核保有論の誤謬を国民にわかり易く訴え、延いては、我が国の非核政策について改めて国際社会に説得力ある理由付けを示すべきだ、という立場ですから、国会での議論を否定しなかったという理由だけで外相罷免を要求する話にはとても乗れません。

民主党は、野党共闘によって左へ左へ引っ張られるよりも、生活者の利益に軸足を置きつつ、さらに徹底した改革を標榜する保守層へ食い込むような政策立案や運動を展開すべきだと信じます。そんな思いで、月曜日には、同憂の議員数人と民主党のあるべき政策軸について話し合いを始めようと思います。これは、昨夏の総選挙以来離れてしまった無党派の支持を取り戻す運動でもあります。組織や団体や個別利権とは無縁の「普通の生活者」が共感できる政策軸を取り戻すことこそが、政権交代への王道だと確信します。