昨日付の毎日新聞「論点」で防衛計画の大綱について特集。掲載された拙稿に対し、リベラル派と思しき方からの批判ブログがあることを友人が教えてくれる。
読んでみたら、私が伝えたかった内容を的確に引用していただいている。(批判の論点については、まったく見解を異にしますが…。)
以下に全文転載し、皆さまの議論に供したいと思います。

<「雪裏の梅花」さんのブログ最新のエントリーから転載>

「軍事優先主義者・菅直人」

1月7日付『毎日新聞』の「論点」には、菅内閣の下で改定された「防衛計画の大綱」について長島昭久民主党衆議院議員(党外交安保調査会事務局長)の論考が載っています。
長島氏の立場から言えば、実際の改定に携わった者からの「説明」とでもいうべきものでしょう。と、いうか、実際その前提で書かれているようです(^_^;)
長島氏は前半を防衛政務官として、後半を党外交安保調査会事務局長として、防衛大綱の策定に深く関わったと自負した人。
ところが、これが全くひどいものなのです。これを見て新防衛大綱の問題点がはっきりと理解できました。ある意味で長島氏は率直な議員です。
本来なら全文を紹介した上で批判すべきなのでしょうがWeb上でまだ未公開なので抜粋して引用いたしますm(_ _)m
ともかく新大綱は自民党時代から積み残されていた宿題に一気に手を付けたものであったとか…。具体的なそれを3点に分けて説明しています。

(引用はじめ)
 第一に、策定のプロセスである。新政権の金看板ともいえる政治主導(脱官僚依存)は、少なくとも防衛大綱策定において貫徹されたと胸を張れる。特に最終盤の2カ月、防衛相を中心に官房長官、外相、財務相の4閣僚協議で政治家同士の真摯な議論が重ねられ、形骸化しがちな安保会議をリードしたことは特筆に値しよう。(略)
(引用ここまで)

防衛相・官房長官・外相・財務相…野田財務相を含め、菅内閣ではいずれもタカ派・親米派がその席を占めていることに驚かされます(@_@;)
よく菅支持派のブログなどで「菅総理は防衛大綱にハト派的な視点を入れようとした」などと述べる人がいますが、それが全くのウソであることが分かります。
政治家のリーダーシップは新防衛大綱を積極的に策定することにこそ注力されたのです。そこに歯止めをかけようとした人がいたことは言及されていません。
少なくとも積極的な異論を述べた人がいないのは確かなようです。しかもそこには首相の最側近である仙谷官房長官が加わっていたのですから(-_-メ)

(引用はじめ)
(略)「力の空白をつくらない」(基盤的防衛力構想)というこれまでの受け身の姿勢から転換し、韓国、豪州、ASEAN(東南アジア諸国連合)、インドなどを「準同盟国」と位置付け、我が国が地域の安定にも積極的な役割を果たす意思を鮮明にしたことは意義深い。
(引用ここまで)

「我が国が地域の安定にも積極的な役割を果たす意思を鮮明にしたことは意義深い」だってさ。もう、出すことに決まっているのね。自衛隊を海外に…(*_*)
ここで「準同盟国」に挙げられた国が、韓国を除きいずれもTPPと深い関連があることも指摘しておきましょう。それから麻生政権のウルトラタカ派政策「自由と繁栄の弧」とも。
経済の同盟はTPPで、軍事同盟は「自由と繁栄の弧」でガッチリ固める。目指すところは仮想敵国・中国の封じ込めです(-_-メ)
ちなみに「自由と繁栄の弧」はネオコンブッシュの「不安定の弧」政策とも深いかかわりがあります。カーボンコピー(死語?)と言って良いくらいです。
対テロ戦争の観点からアメリカが単独でユーラシア大陸を空(空軍)から封じ込めるのが「不安定の弧」。
対中国・朝鮮半島の観点から、日米が共同でユーラシア大陸を海から封じ込めるのが「自由と繁栄の弧」。そう思えば当たらずとも遠からず…(-_-メ)

(引用はじめ)
 最後に、厳しい財政事情にもかかわらず、陸上自衛隊の削減を1000人にとどめ、過去8年続いた防衛予算の削減傾向にストップをかけた意義は大きい。
(引用ここまで)

安倍政権も、麻生政権も、防衛予算は削減傾向だったのです。これを民主党政権下でストップをかけたのですから平和に対する裏切りに等しい。
障害者自立支援法を廃止するという公約はどこに行ったのでしょうか?財源が無いとか言いつつ、有るところにはあるものです。感心します(-_-メ)

『毎日新聞』の「論点」には、元防衛庁局長だった柳沢協二氏と元陸上自衛隊幕僚長だった冨澤暉氏も、批判的な観点から論考を載せています。
元制服と元内局が危惧を覚えるような内容なのです。新防衛大綱がいかに狂った内容であるか分かるでしょう(@_@;)
それでも左派は、どうせ最後は民主党に付くと思っているんだろう…。恥を知れ!!!!

<転載終わり>

いかがでしょうか? 前大綱までの「官僚主導」に深く関与してきた柳沢氏の批判も、富沢元陸幕長の批判も、いずれも傾聴に値しますが決して左からの観点で「危惧」を抱いているわけではないことを申し添えておきます。

いずれにせよ、大綱策定を機に国民の皆さまの間でまっとうな国防論議が大いに盛り上がることを切に期待します。