米国務省が毎年4月にアップデートする『国際テロ年次報告書』は、拉致「家族会」や「救う会」の皆さんの多大なご苦労により、2003年版(2004年4月公表)から初めて「現在進行形の国家テロ」である拉致問題が言及されることになった。その最新版の公表時期が2ヵ月後に迫っている。

一方で、さきの六カ国協議の合意により、米国によるテロ支援国家指定を解除する協議が開始されることが決まった。現在、国際テロ年次報告書の「北朝鮮」をめぐる記述は、北朝鮮がテロ支援国家と断定される理由につき、1987年の大韓航空機爆破事件とともに、よど号ハイジャック犯をかくまっている事実と2002年に金総書記が認めた拉致について記載されている。

米政府では、クリントン大統領時代の末期に、対北融和策の一環で、このテロ支援国家指定解除の動きがあった。当時はまだ拉致問題が国家テロとの認識が日米両国で薄かったから、拉致がテロ支援国家指定の根拠の一つに取り上げられていなかったから、よど号ハイジャック犯を解放しさえすれば、大韓航空機爆破以来、国家テロに手を染めていないという理由で、テロ支援国家指定を解除する方向で検討された。そして、7年ぶりにこのたびの動きである。

拉致問題を憂える皆さまからの要望もあり、私は今日の衆院外交委員会での質疑の中で、この国務省年次報告における「北朝鮮による現在進行形の国家テロたる拉致問題」への言及につき、引き続き日米両政府の間で注意を喚起するよう訴えた。麻生外務大臣に、とくにつぎの二点を申し上げた。

第一に、年次報告の記述の誤りの訂正を米政府に求めること。
第二に、それによって、改めて拉致問題に対する米政府のコミットメントを再確認し、北朝鮮との間の米朝作業部会での協議を通じて、拉致問題の解決を強く北に迫るよう促すこと。

前者については、5人の拉致被害者が日本に帰国された年を「2003年」と誤記されている点を指摘、また、偽遺骨返還事件をめぐるくだりがいかにも日朝両国が対等に真贋論争をしているかのような書きっぷりになっているのを、正確に「北朝鮮側が偽遺骨を持ち出したのに対し、日本側はあくまで生存者全員の解放を求めている」と改めるべきことを求めた。

麻生外相は、国務省年次報告書の記載の誤りを認め、米政府に訂正を求めていくことを明確に約束してくださった。質疑後、直ちに「救う会」の西岡力教授に報告した。こうした努力の積み重ねが、拉致問題を解決するための一歩一歩になるのだなと改めて感じさせられた。私自身の活動はじつにささやかなものだけれど、国会審議を通じて得られる成果を今後とも積み上げて行きたい。