憲法改正に関する東京新聞による政治家インタビュー・シリーズの第7回に掲載されましたので、以下ウェッブ版から転載し紹介させていただきます。多少舌足らず、あるいは言い過ぎたところもありますが、現時点での私の本音が明らかになっていますので、ご参考まで。

なお、改正のポイント(内閣総理大臣のリーダーシップ、二院制の在り方、憲法裁判所の創設、地方分権(地域主権)の視点、新しい人権の明記と「公共の福祉」の見直し等)については、もう少し詳しく論ずる必要がありますので、後日改めて書かせていただきます。

憲法改正を問う<7> 長島昭久・民主政策調査副会長 
2007年6月1日 東京新聞紙面から

 ――先に成立した国民投票法への評価は。

 「特に不満はない。基本的に民主党は、憲法を新しく書き直そうという立場。(国民投票法という)手続き法は政府案に反対で仕切ったが、できれば争点としないで粛々とやるべきだった」

 ――衆参両院に設置される憲法審査会では、まず何を議論するか。

 「六十年ぶりに新しい憲法を作ろうというのだから、戦後六十年をどう総括し、どういう国の形を作っていくかという議論をすべきだ」

 ――具体的には。

 「首相は今の(憲法の)規定でリーダーシップを発揮できるのか、(国会は)一院制か二院制か、司法では憲法判断を行う『憲法裁判所』を作るかどうか。そういう基本的な国のあり方、地方分権や人権を議論する。議論していくうちに、どこ(の条文)を変えるかという議論に行き着く」

 ――九条については。

 「個人的には、二項は現実と理想の乖離(かいり)が出ていると思う。『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』『国の交戦権は、これを認めない』という文言は変える対象になる。(現状のままなら)税金を投入して自衛隊を運用し、戦車や戦闘機を持っているのは、何なのか。憲法が軽んじられている状況と言っていい」

 ――改憲派も護憲派もいる民主党内では、そこをどう議論するのか。

 「丁寧に議論していく。平和主義の原則を犯すわけではない。国会が自衛隊をきちんとコントロールするという原則を貫き、憲法の付属法として『安全保障基本法』も作る。そういう二重、三重の手当てをすれば、憲法九条二項の変更は多くの議員の同意を得られる」

 ――それでも護憲派が納得しなければ。

 「乱暴な言い方かもしれないが、多数決で決めるしかない。『本当に嫌なら社民党で(議員活動を)やったらいかがですか』と言うしかない」

 ――安倍首相の憲法改正への姿勢について。

 「改憲をはっきり政権の目標に掲げた首相は安倍さんが初めて。民意をリードするのも政治家の役目だから、悪いことではない。ただ、参院選の争点に改憲を持ってくるのは、これから三年かけて(改憲の)中身の議論をするわけだから、明らかに勇み足だ」

 (聞き手・清水俊介)