党大会の午後、野田代議士らとともに、インドネシアのユドノヨ大統領の右腕で、対テロ治安責任者のムバイ将軍と懇談。世界最大のムスリム国家インドネシアの治安責任者は、米国のイラク戦争およびその後の統治失敗について、アメリカ方式は絶対に成功しないと吐き捨てるように断言した。テロリストは軍事力ではなく警察力で追い詰めるしかないと。戦後半世紀以上もテロと戦ってきたインドネシアのテロ対策について詳細にブリーフを受けたが実に興味深いものだった。周辺諸国との緊密な連携を強調し、今のイラク政府は、米軍駐留のゆえに必要不可欠な連携が取れない状況にあることが事態をより深刻にしているという。

ところで、先日発表されたブッシュ政権のイラク「新」戦略は、またしても論語の教えに反している。ブッシュ大統領は、これまでも何度かイラク政策の誤りを認め軌道修正するチャンスをふいにしてきた。情報機関に重大な過誤が発覚したとき、第二次政権発足時、そして、ラムズフェルド国防長官を更迭した今回は、頼みのイラク研究グループ(ISG)が報告書の形で助け舟を出した直後だけに「過ちを改むる」には絶好の機会だった。

それでも、英エコノミスト誌が書いたように、「ブッシュはリスクを回避する政治家ではない」(かんべい殿監訳)のだ。確かに、ISG報告書でも一時的な米軍増派のオプションに触れていたが、今回の増派は一時的なものとはいえない。また、SGI報告書ではイラン、シリアとの本格的な連携を強く示唆していたが、ブッシュ大統領は逆にイラン、シリアの介入からイラクを守るべきだとさらに戦線を拡大する姿勢を鮮明にした。すでに北部地域に侵入したイラン人を掃討している。さらに、懲りないのは、ブッシュ大統領演説に根強く残るイスラム社会を刺激する言辞だ。これでは、イラク安定はまったく覚束ない。

それでも日本は黙々とついていくのか。通常国会中にイラク特措法の延長期限がやってくる。参議院選挙前に片をつけなければならない。