総選挙先送りがもたらした精神的ダメージは計り知れないものがある。
与野党を問わずすべての現職議員、浪人、新人候補者が同じような心理状態に置かれているはずだが、正直しんどい。後援会の皆さんもこの2ヶ月振り回されて、しばらく立ち上がれない感じだ。申し訳ない思いでいっぱい。スタッフも疲労困憊。今週は、思い切ってリフレッシュ・ウィークということにした。

さて、私自身、11月上旬選挙に照準を合わせ、10月17日テロ特質疑、20日地元総決起集会、22日都心で政経フォーラムと、国会内外の活動を盛り上げてきたが、あえなく空振りに終わった。その後も、ブログ・エントリーにふさわしい重要イベントが続いたが、とても筆を執る気にならなかった。そこで、以下、備忘録として書きとめておきたい。

11月1日、日野市で「命のメッセージ展」開催。地域の政治活動の同志でもある菅原直志日野市議会議員がライフワークで取り組んでいる犯罪被害者支援の一環。犯罪や交通事故(交通犯罪)や自殺など不慮の事故で最愛の肉親(子供や親)を亡くされた方々が、その故人を偲びつつ思い出のメッセージを記し、それぞれ「命のメッセンジャー」となってもらい、来場された方々に命の尊さ、遺族へのいたわり、犯罪の防止などを訴えるという企画。全国で展開中だ。私も3日間のうち2日足を運び、遺族の方々と交流を深めさせていただいた。

11月3日、田母神航空幕僚長解任。政府見解を逸脱した言動を公の場で行った(懸賞論文)ことにより、シヴィリアン・コントロールの貫徹をもって空幕長の職を解かれた。至極当然のことである。言論統制、思想良心の自由の侵害との批判もあるが、航空幕僚長とは単なる一軍人ではない。制服組のトップというのは、政治的なバランスも必要な政軍関係にまたがる枢要なポストだ。彼の歴史観が正しいかどうか、「村山談話」の歴史観が正しいかどうか、が問われているのではない。そんなことは百人百様だろう。ただし、政府によって任命された以上、公的な場では政府の見解に従わざるを得ないのは理の当然だ。私的な言動まで縛られるものではないことも言を待たない。(したがって、「自衛隊員を再教育しろ」だとか「自衛官全員の思想チェックをし言論統制しろ」などというのは、明らかに過剰反応。)ついでに言えば、田母神氏が論文で披瀝した歴史観は、彼がわざわざ航空幕僚長の肩書きで職を賭して世に問わなくとも、すでに渡部昇一さんや櫻井よしこさんたちが数段説得力あるかたちで上梓しており、それは広く世の中に受け入れられている。すなわち、田母神氏には一言「あなたの出る幕ではない」と申し上げたい。(この点で、「雪斉」こと畏友・櫻田淳君が、自身のブログで明治天皇が軍人に対し「世論に惑わず、政治に拘わらず」と戒めた『軍人勅諭』の一説を引いて批判していたのは正鵠を射ていると思う。)

11月5日、アメリカ国民が、史上初の黒人大統領を選出。オバマ候補の勝利演説、マケイン候補の敗北演説に、アメリカ民主主義の底力をみる思いで感動した。オバマ次期大統領の行く手は険しいものがあると思うが、アメリカ新政権の誕生は、新たな日米関係を構築するいい切っ掛けになるであろうし、経済的にも外交的にもこれまでのようにアメリカ頼みが通用しない世界に直面し、日本外交の新たな地平を拓く絶好のチャンス到来でもある。

11月8日、慶應義塾創立150年記念式典。天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、日吉の丘で開催された式典は冷たい雨の中ではあったが、感動的なものだった。とくに、天皇陛下のお言葉は異例なまでに長文で塾祖福澤諭吉の足跡を讃え、安政5年にさかのぼり慶應義塾における教育の果たしてきた先進的な役割を評価するとともに、1時間余りの式典を寒い屋外にもかかわらず最後までとどまられたお姿に感激しないわけには行かなかった。アメリカ一極支配が崩れ、混迷と不確実に包まれた世界秩序の立て直しが急務の今ほど、福澤翁の箴言「独立自尊」に思いを馳せ、この精神を実践するにふさわしい時はないであろう。

11月11日、海賊対処に係る「質問主意書」第2弾に対する政府答弁書が公表された。概ねこちらの意図したとおりの答弁内容であり、これを足がかりに実効ある対処行動の早期実現に向け、さらなる働きかけを行う決意だ。さしあたり、14日に予定されている海洋政策研究財団主催の海賊対処シンポジウムでの講演準備に入る。草稿が完成したら、当ブログで公表するつもり。乞うご期待。