かねてから予想されていた北朝鮮のミサイル発射が現実のものとなってしまいました。しかも、2ヶ月近くにわたり日米両国による厳しい警戒監視の下に置かれていたテポドン2ミサイルに加えて、すでに10年以上も実戦配備されてきたノドン・ミサイルを連射したことは、我が国の安全保障にとりきわめて深刻な意味を持つものです。移動式ノドンの連続発射に対するミサイル防衛システムの対処能力は、現行の計画を完璧に実現したとしても、きわめて限定的なものにならざるを得ないからです。

また、政府の姿勢をめぐっても、今回の暴挙が、ミサイル発射凍結を定めた日朝平壌宣言に対する疑いの余地ない違反行為であるにもかかわらず、昨日の官房長官声明では、同宣言に「反する疑いが強い」との曖昧な言い回しをしていることはいかにも不可解です。また、万景峰号の入港禁止を半年間に限定した理由も不明確ですし、北朝鮮にとっては決定的とも言うべき貿易・送金の停止という制裁措置を先送りしたことにも不満が残ります。なぜなら、外貨を殆ど持たない北朝鮮にとり送金停止は決定的な圧力になり得るからです。この間、米国の金融制裁が北朝鮮の資金源を締め上げてきたのは周知の通りです。

冷静になって考えてみると、北朝鮮は、短期的にミサイル発射に対する世界中の非難が巻き起こることは織り込み済みだと思われます。しかし、中長期的にみれば、おそらく非難が一段落したところで、何食わぬ顔で六者会合への復帰を言い出すに違いないでしょう。そのとき、我が国は、それを受け入れるだけに終わるでしょう。現に、昨日の官房長官声明でも、「六者会合への早期かつ無条件復帰」を求めていますから。北朝鮮としては、何の痛痒も感じることなく平然と六者会合に復帰し、また新たな条件をあれこれつけて核開発の時間稼ぎをすることは想像に難くありません。拉致問題の解決も平然と先送りしてくるでしょう。

だからこそ、断固とした制裁発動がいま、このタイミングで必要なのです。たとえ北が六者協議に復帰したとしても、拉致や核を解決する意思がないのであれば、制裁を継続し、さらに国連安保理を通じて、より実効ある国際的な制裁で北朝鮮に対する圧力をかけていくのです。送金停止措置は、第三国を迂回するケースが殆どですから我が国だけではなお限界があるからです。

本日、午後1時過ぎより、衆議院安全保障委員会における閉会中審査で、緊急質疑に立ち、この点を含め、麻生外相、額賀防衛庁長官に質します。

ところで、昨日、民主党に「北朝鮮ミサイル発射問題対策本部」が立ち上がりました。急遽中国訪問を切り上げて帰国した鳩山幹事長を本部長に据え、私自身は事務局長を拝命し、朝から対応に追われました。第一回会合の冒頭で、「私たちは野党ながら単なる批判者に堕することなく、この国難にあっては与野党の別なく協力すべきは協力しよう」との基本方針が確認されたことは意義深かったと思っています。

また、中国にいる小澤代表から、昨日朝には李軍中国共産党中央対外連絡部アジア局長と急遽会談して日本側の憂慮を伝え中国政府の野協力を求めましたが、本日改めて、中国政府(本日は、ちょうど実質的に外交部を仕切る王家瑞中国共産党中央対外連絡部長との2回目の面談がセットされていました)に対し国連安保理での協力を求め、同時に北朝鮮大使に面会を求め直接日本国民の憤りと国際社会の非難を伝えることも確認され、早速、国際電話で同行の細野役員室長へ鳩山本部長から指示してもらいました。

本日も、委員会審議に先立って、午前10時半から対策本部の第二回会合を開き、政府からのブリーフを受けた後、今後の対応を協議します。さらなるミサイル発射も排除できない中で、まだまだ気を抜くことはできません。