今日も、在日米軍基地の再編をめぐるキーパーソンの一人と会談。

同盟を強化するため(だったはず)の一連の日米交渉の過程で、日本政府がおかした致命的な誤りの本質が見えてきた。それは、先日の日米安保戦略会議で私が最も強調した点でもあるが、「日本側の意思」というものが見えない、感じられないことに、日米双方の関係者が強く苛立っているのである。

戦略レベルから省庁間や自治体との根回しのレベルにいたるまで。
相変わらず、アメリカ側の要請を日本側が受身の姿勢で「値切る」という構図なのだ。

日本にとって、なぜいま同盟強化(日米当局者は、これを米軍のトランスフォーメーションになぞって「同盟変革(transformation of the alliance)」と呼ぶ)が必要なのか?この絶好の機会に、日本としてどのような目的(国益)を達成しようとしているのか?その結果、アメリカ側にどのような条件を突きつけ、受け入れを迫るのか?日本を取り巻く戦略環境や、米軍をめぐる技術革新や兵力構成の変化のトレンドを冷静に読んで、丁々発止の対米交渉を進めなければならない。(もちろん、言うは易しに違いない。)

しかし、先日も書いたが、日本側に、冷徹な目的を達成するための周到な準備や関係者に対する熱心な働きかけがあったとは到底思えない。だから、国民の間に広がる「不安」と「不満」を解消できないでいるのだ。何か日本がアメリカから不必要な負担やリスクを背負わされているのではないかという不満。そして、すべてはアメリカ側のシナリオに乗せられているのではないかという不安。

この深刻な事態を挽回するのは確かに困難であるが、「最終報告」を取りまとめる来年3月までにやっておかねばならない今後のポイントは、二つあると思う。それは、上述の「不安」と「不満」を解消しうる対応策だ。不安に対しては、自己の国益を踏まえた我が国独自の地域戦略を鮮明にすること。不満に対しては、日米地位協定を改定すること。これができるかどうか、が今後4ヶ月余の勝負となる。野党とはいえ、できることから始めよう。すでに、仕込みを始めている。