防災関連の記事をUPしてきましたが、今日は逗子市のまちづくりについて書きたいと思います。


横浜市馬車道商店街の六川理事長に魅力的な商店街づくりの方策についてお話しを伺ってきました。
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まちづくりの成功のヒントは一言でいうと「きめ細かいニーズに対応すること」です。

通常は商店街の景観統一など「うちはセットバック(壁面後退)できないから」などと、個別の事情で頓挫するケースがほとんどです。

しかし、馬車道商店街は可能な限り個別の事情を優先させつつ、相手と丁寧な折衝に時間をかけることで合意形成を図りました。また理事長自ら自社ビルを3m半セットバックし範を示すことで商店街の皆さんに理解を得られるようにしました。

馬車道商店街は歴史的にも古い商店街で、アイスクリームの発祥の地でもあります。
昭和50年にその後全国のモデルとなる「まちづくり協定書」を締結し、商店街自らがビル壁面の後退や外壁の色彩、広告物の大きさや配置などのルールを定め、運用をしてきました。

当時、紳士協定でしかなかったまちづくり協定がなぜ実効性をもったのか?

一つの理由としては、建築確認に地元商店街の合意書の添付を義務づけ、合意がとれていないものについては、市が差し戻したということです。
今では、行政手続き法違反になりこのようなことはできませんが、当時の地域住民と市との連携プレーもあり機能させることができました。

合意がとれない、つまり、少数の反対意見や要望を無視せず、個別丁寧に事情を斟酌しつつ、最大公約数をまとめていったことが成功へのカギだったのです。

その後現在までこのまちづくり協定書は改定を重ね、生きたルールとして進化し続けています。
(平成20年にはさらに細かい数値を入れ込んだ地区計画を施行)


六川理事長と実際に商店街を歩きながら、商店街のコンセプトづくりに始まり、合意形成のやり方、フラッグやガス灯プロムナードの有効性についてなどなど、逗子市でも応用できそうなまちづくりのヒントの数々をご教授いただきました。

例えば、馬車道商店街の協定書を参考に整備されたイセザキモールでは、街中にむやみにベンチを置くことが法律で禁止されていたため、木にぐるりと腰をかけられるような台を設置し、あくまでこれは木の台ですということで警察の許可をもらったとのことです。


魅力的な街並みは自然発生的にできるものではありません。

横浜馬車道商店街でも綿密な計画と、一軒一軒に気が遠くなるような時間と労力をかけて丁寧な協議を重ねた結果、今の美しい景観のまちなみがつくられています。

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今後の逗子のまちづくりにこうした先進的な取り組みから学んだことを活かしてまいります。