甲状腺乳頭がんが見つかって
卵巣腫瘍が見つかって

もう未来なんかないと思ってたら


今のダンナさんと出会った



卵巣の手術後数ヶ月で



付き合う前
病気だったこと
手術をしたことがあること
薬を一生飲み続けて病院に通わないといけないこと

これは必ず伝えた



あとから説明して
離れることになったらつらいから

最初に伝えて嫌なら嫌でいいから


ダンナさんは…
「え?なに?そんなこと全然かまわんよ」
って言う人だった

こっちが拍子抜けするくらい



それから結婚の話がでるようになって
病気の話ちゃんと全部しておかなきゃって
ようやく話した

それまではやっぱり話すのが怖くて

そんなことくらいとか言われたら…とか
やっぱり別れようとかなるのが怖くて


勇気を振り絞って
詳しく絵なんかも書きながら
たまにちょっと泣きながら震えながら


こどもはできるって言われたけど
できるかどうか自信がないことも含めて



ダンナさんの返事は

ようやく話してくれたね……ありがとう
とっても怖かったんだね


思ってもみない返事だった


わたしが話すのをずっと待ってたらしい
まだかまだかと…


それで結婚することに決めた

この人なら大丈夫って思った



今でもダンナさんは
毎日わたしの体調を気にかけてくれる

たまに薬飲んだ?って聞かれて
飲み忘れてることに気づいたりする


病気について
嫌なこと言われたこともない
笑われたこともない
嫌な顔されたこともない


わたしが必死で生きてるのを知ってくれてる



甲状腺の手術から5年経って
がん患者の5年生存率に
わたしも加わったのかな?なんて思ってたら


妊娠した


自然妊娠で



そしていま1人の子どもがいる
おかーさんになった

わたしがずっと夢見てた家族と
毎日暮らしてる



同じ病気でがんばってる人がいたら

夢はかなうよ
あきらめないで
がんばって

なんてキレイな言葉

言いたくない



でも

実際こんなわたしがいるよ

って言いたい



甲状腺乳頭がんでも
卵巣腫瘍でも
結婚したし
こどももいる



甲状腺の先生は
こどもが生まれてしばらく経った診察のとき
ボソッと言った


すごいな…って



こどもが生まれてから
今度は左の卵巣に腫瘍が見つかった
たぶん前と同じ奇形腫だろうと


いまはまだ手術は考えてない



けどわたしには目標がある

こどもが
わたしの病気のこと理解できる歳まで
ちゃんと育てて

自分の口で説明すること



もしいつかこどもが病気になってしまっても

わたしのように

なにか小さな望みでも持てるように

こんなおかーさんがいたんだよ
だから自分も大丈夫って思えるように



それまでは生きていかなきゃ