何度か母に父のことを聞いたことがある


小さい頃は亡きものにされ

わたしは長い間聞けずにいた
まだ生きていると思う
ただ聞いたところで本当のことは言ってもらえない


高校生のとき改めて聞いた
隠しきれないと思った母は
20歳になったら言おうと思っていた…としぶった

わたしは待っていた


20歳になって話がなくて
母はどれだけ嘘をつくんだろうと思った


それからいつになったら言うんだと問いただしても
結婚してから…とか先延ばしにされた


埒が明かないと思い、どんな人だったのかと聞けば


友達がいなくて静かで何を考えているかわからない人


母は父の嫌なとこしか言わなかった
娘に対して

母からは何も聞けないと思った


親戚に聞いても
母が言わないのならわたしたちからは言えないと言われ

八方塞がり



その後 母から
事故で亡くなったと昔言ったけれど
じつは生きていると言われた

そんなの知っていると答えたとき
母はものすごく驚いた顔をしていた
馬鹿だと思った


その前にわたしは調べていた
自分の戸籍、父の戸籍を調べて
父が生きていることを確信した

でもそのとき思った
役場で、離婚して父のことがわからない
だからわたしの戸籍を持って行って父の戸籍がほしいと伝えたとき

むなしくなった

こうしないと父のことがわからない

お金を払って自分の戸籍謄本だか抄本だかをとって、父の住んでいる市の役所に行ってそう言う

普通の家はおとーさんは夜になったら帰ってくる
お金を払わなくても会えるのに
自分で調べなくても会えるのに



父と住んでいたころの電話番号ならわかる
ただ…どうなっているかはまったくわからないと母は言った
そして祖父が最近亡くなったことは新聞を見て、訃報の欄を見て知ったとその時言われた


わたしは自分の祖父が亡くなったことをそのときまで知らされなかったのだ
母は知っていたのに


母方の祖父が亡くなったとき母は怒った

どうして祖父が亡くなったのに
彼氏と遊びに行っているんだ
あんなによくしてもらったのにと

もちろん通夜葬式にはちゃんと出た

母が言っているのは亡くなるときのこと
たしか彼氏と会っているときに連絡を受け病院に来るか来ないか聞かれたと思う

行ったところで…と思ったわたしは行かなかったんだと思う

それをあとから怒られた
行くべきだったのなら来てと言えばよかったのに


でも…父方の祖父が亡くなったのは知らされたのは数年後
しかもわたしが聞いてしぶしぶ答えたついでに


こいつは馬鹿だと思った



その場で父の家に電話をさせた
今までなにもしてくれなかった母に
なにかさせないと気がすまなかった

それにまたどこまでも先延ばしにされる
今!!この場で!!!