町ねこが消える日

 

 先日、町ねこ調査にメンバー以外の人が参加してくださいました。ねこの多い斜面地に住んでいる以外にねことの接点はない(好きでもなければ嫌いでもない)けれど、塾活動に興味を持ち、調査に同行してくださったのです。

 外のねこのTNR(避妊去勢手術したのち元の場所に戻す)についてお話しながら歩いていた時、その人は「みなさんは町からねこが消えることを望んでいるのですか?」とさりげなくぽつりと言われました。それは非難ではなく、素朴な質問でした。私は一瞬、何と答えていいのか、戸惑いました。

「ねこは家の中で飼うべきであって、もともと外で生きる動物ではない」と考える人にとって、外にねこがいることは許されません。すべてのねこは家の中へ、と考えています。

一方、ねこの糞尿などの被害に困っている人も、外のねこを許そうとしません。家の周りにいるねこを捕まえて、別の場所に捨ててしまいたいと思っているはずです。つまり、ねこを好きか嫌いかに関わらず、外のねこが消えてしまうことを望む人たちがいます。では、そうではない、そもそもねこに関心もなく、好きでも嫌いでもない人は、町の中のねこについてどう考えているのでしょうか? 

 1ha(100メートル四方)に20匹以上のねこが暮らしているような密集地帯では、どうしてもねこ問題、ご近所トラブルが多い。それならばある程度ねこの頭数を減らし、トラブルを減らそう、そのためにはTNRが最良の方法だと、私も考えてきました。しかし、まちなかのねこすべてを消してしまいたいわけではありません。ねこと人にはメソポタミア文明の時代から、互いの立場を認めあいながら生きてきた長い歴史があります。まちなかのねこを大切にしながら、長崎を人とねこがともに平和に暮らせる町にしたいと願っています。

(塾長 中島)