前回記事の続き。未読なら是非(★ )
屋外で動物を飼うことがほとんどだった一昔前なら見過ごされていたような症状を、きめ細やかにケアできるようになってきました。
室内飼いの家庭が増えて、動物の小さな変化や臭いに人間がより気づきやすくなったということでしょう。それに伴ってそれまではさほど大きく取り上げられてこなかった歯科医療の需要が増し、情報・技術ともに急速に発達し高度になってきています。受けられる医療は人間と変わらなくなりつつあります。
「なんだか前より口が臭う
ようになってきたな。」
「歯の色が変わってきた」
のように、飼い主さんが動物の口内の変化に気づくのも室内飼いの影響でしょう。
ちなみに、
僕が獣医師になりたての頃(約20年前)は良くも悪くもおおらかな時代でした。
当然飼い主さんの動物の歯に関する意識も高くなく、、
飼い主さん(以下:飼) 「センセー、この子なんか歯が茶色くなったねえ。」
僕 : 「あぁこれ歯石だね。ひどくなると歯茎にも炎症が起きてこの子がしんどいよ。臭いもきつくなるしね。歯石取り考えてみる?」
飼 : 「ん?あぁいいいい。元気だもん。いいわいいわ」
イヌ : 「・・・・・・??」
・・・・・数年後
飼 : 「センセー歯ねえ、なんかなくなっちゃったみたい!」
僕 : 「えーっ!・・・・歯石がたまりすぎて歯茎が化膿して歯が抜けちゃったんだねぇ。」
「顔が腫れちゃって元気ない時あったんじゃない?」
飼 : 「あったかもしれんけど、覚えてない。外におるし、ずっとは見とれんもんねえ。ワハハ
。」
イヌ : 「・・・・・・。。」
なんてこともしばしば。屋外での動物飼育が主流だった頃ならよくある話でした。
そして現在。
僕から見るとまだごくごく初期の歯石で、特段の注意喚起の必要のない段階でも飼い主さんから申告されます。
「口のニオイが気になります。」と。
もう、本当にすごいと思います。
きっと日頃から家庭でスキンシップをしながら、時には顔をペロペロなめられながら気づかれるんですね。「前はこんな臭いしなかったよなぁ・・。」と。確かに顔をなめられる度にモワッと臭いがやってくるのはいい気分ではありません。そして愛猫・愛犬をじっくり観察。で変化発見です。
歯石は字のとおり、歯に石のように硬く付着するため、一度ついてしまうと歯ブラシでは取れません。飼い主さんには歯石除去の一般的な流れを説明します。
一次選択は眠った状態(全身麻酔)で、歯石を器械で削りとること。歯石が付いて歯茎が退化している部分は、歯石を除去することによって隙間ができて、除去後に歯にグラつきがでる場合があること。処置の後は再付着を防ぐためのケアが必要であること。など。
処置は人間の歯石とりの場合とほぼ同じです。被処置者が全身麻酔下かどうかが大きく違います。どんなに頭のいい動物でも、処置の間ずっと口を開けてじっとはできないのでやむを得ず全身麻酔になります。
僕自身の考えとしては、重度歯石の場合は一旦はしっかりとした除去が必要でしょう。しかし高齢の場合や軽度歯石の場合は全身麻酔のリスクと口内の状態などを総合的にみて、柔軟に判断すればいいと思っています。やみくもに全麻の歯石除去をするのもいいとは思いません。
全身麻酔を避けて歯石を軽減させることはできないのか。それができれば高齢の動物にも、軽度歯石の子にも朗報です。
もともと、僕は医薬品ではない「サプリメント」については積極的に関わらないようにしてきました。様々な効能をうたったサプリメント商品は選ぶのが難しいほどたくさんありますね。最近は動物関連の商品も出回るようになってきました。
たくさんあって選ぶのが難しい事もさることながら、僕がこれまでサプリメントと距離を置いてきた最大で唯一の理由は
胡散臭いから。![]()
効果がはっきりしないから
。
に尽きます。都合のいいうたい文句にはのらないぞ!くらいの感情があるのも正直なところです。
ところが人間のビフィズス菌系のサプリのように、企業と研究者の綿密な検証によって効果が裏付けられるものもでてきているのも事実。インフルエンザ予防のために流行期に品薄になるものもありますよね・・。
いよいよ効果がはっきりしないという理由だけで敬遠していてはいけない時期にきていると思うようになりました。
(続く)
すみません長くなりました。次回完結します!近日中に。


