「手術が必要です。」
そこまでの症状と思わずに動物と訪れた病院で、獣医師から告げられたらどうしますか。
即答、できますか?
命の灯が消えかかっている。今ならギリギリ間に合うかもしれない。という場合は即座に決断しなければいけませんが、
選択肢がある場合。
飼い主さんはとても戸惑うでしょう。
動物の本来の野性は、敵に襲われないために自分の弱味を体の限界まで外には見せません。よって病気やケガで体の調子が悪くても人間にはわからないことが多いのです。飼い主さんが症状に気づいて来院した時には重篤な場合も多くあります。
「なんか最近胃がムカムカするんだよね~
」
「いつも息苦しいんだよねえ~。なんでだろ?
」
「いつも背中の辺りに鈍痛があってしんどい
」
などと動物が教えてくれたら、どんなにいいか。と思いますよね。でもこれは動物の本能なので、人間が受け入れて寄り添うほかありません。
そして深刻な病気が見つかった時には、決断しなければいけません。
さて、どうするのか。
僕の場合は、とにかく話します。
手術かも。という段階ですでに飼い主さんはとても緊張されることが多いので、時間をかけて話します。何度もです。
僕だって獣医師をしていますが、自分が病院(人間の)にかかる時はやっぱり脈拍上がります。ましてや手術の話であればなおさらです。
まずは獣医師としての第一次選択。またその費用。
手術を回避したい場合の治療法とおおよその費用。
投薬を続けて症状への反応がよければ投薬で管理が可能なこと。
薬の反応が鈍ければ、結果手術せざるを得ないこともあること。
順序立てて話すようにしていますが、動揺している状態ではなかなか記憶に残らないので、少しずつ言葉を変えながら同じことを話します。
最終的には、一旦話を終えます。
人間でも動物でも、家族が手術をうけるのは一大事。
落ち着ける家で、
家族みんなで話し合って下さい。
と伝えます。
まずは家族の気持ちを一つにすることが大切ですが、術後に見守る人の都合、薬を飲ませるのは誰か、動物病院に付き添う人の生活リズムなど、家族で話し合って確認しておくことはたくさんあります。
次に会った時。
飼い主さんは少しすっきりした表情をされています。手術にしても手術回避にしても、家族で方向性を決めることができたのですね。
次は僕らの番です。
飼い主さんが懸命に考えて選んだ道を、知識と経験と手技をもって全力でサポートするのです。
飼い主さん家族の方向性を決めることができたら、すでに治療の第一段階はクリアしたといえるでしょう。
是非、ここぞという時には
「家族会議」してみてくださいね!
ながさか犬猫クリニック→★