https://www.youtube.com/watch?v=I3hgOrXrQ_s
1か月前に 思わぬ事で腰を傷めて
それから 自宅療養を余儀なくされていた私
毎週3回のリハビリ通い以外
家の中で 過ごしているうちに
以前の体に戻れるのだろうか との不安が増して
徐々に心は暗く 鬱々となっていった
そんなある日 どこか知らない地へ
夫とドライブして 行ってみようと思い立つ
心に 新しい風を吹かせるために
ネットで見つけた行き先は
岡山県新見市の鯉が窪湿原である
中国山脈の山合いを ナビは
どんどん山奥へと 導く
まるで「ポツンと一軒家」へでも向かうような
くねくねとした狭い道の 奥の奥に
鯉が窪湿原はあった
小さな管理棟には 親切な女性管理人がひとり
ネットで私が見た 鯉が放流されている大きな池は
少し歩いた所に あるとのこと
「ハミ」に気をつけて と言われた
ハミとはマムシのことと聞いて 少しひるんだが
行ける所まで 行ってみよう
ススキ ハギ クズなど
野の花たちに 彩られた初秋の自然の中を
腰に負担をかけないように 気をつけて歩く
意外と 池は近かった
エサを投げると 鯉たちは遠くからも寄って来る
我先にと 他の鯉の体の上に乗ってまで
エサを求めて 大きな口を開ける
パシャパシャという水音が 賑やかに響く
私たちが岸を動くと 鯉たちも猛スピードで
追いかけて来る
鯉たちのこの大騒ぎは まるで
「生きる」ことへの 命の躍動そのものだ
水面は 陽の輝きを湛えている
何だか久しぶりに 心が晴れ渡った
その時 木立ちの方から
中高年のグループが 楽しそうにおしゃべりしながら
池の畔を 歩いてやって来た
2キロあまりのこの池の周囲を
トレッキングしているのだった
そうだ 私も腰を治して
いつか この池を一周しよう
それに いろいろな地に行って
トレッキングをしよう
そんな目標が ふつふつと湧いて来た
そのために 今は焦らず
リハビリをがんばろう
そう心に決めて
鯉が窪湿原を 後にした