児童精神科医 佐々木正美先生の著者「子どもへのまなざし」の中で、
乳幼児を抱えているお母さんやお父さん、保育士さんにどうしても知ってて欲しい部分があるので要約して載せます。


あまりにも有名なので、知ってらっしゃる方も多いと思いますが、再確認の意味も込めて。



乳幼児期は、人間の基礎をつくる大事な時期であるということ。


子育ては、いろんなものに例えて言われますが、佐々木先生は建物に例えていらっしゃいます。


乳幼児期は基礎工事


小学校や中学校は柱や床部分


高校は外装工事や瓦


大学や大学院、留学は内装工事 あるいはカーペットや家具


こんなふうに考えると、後からやるものほど、やり直しがきくということがわかるでしょう。


カーペットなんて敷き替えができるし、家具なんて取り替えられる。


ところが、人の目にとまるのは後からやったところ。
基礎工事は建物が建ってしまえば見えなくなる。

しかし、しっかりした建物かどうかというのは、確かな基礎工事なしには考えられない。

建物ならいったん壊して、更地にしてもう一回建て直すこともできるが、人間はそうはいかない。


傾きそうになった建物に、突っかい棒をしたり、いろんなことをして、それこそ腫れ物にさわるようにして、そっとそっと壊れないようにしていくより方法がないことだってある。


今日の思春期外来、あるいは思春期の精神医学にたずさわっている人たちが、しばしば「むなしい」といいます。

その時期の臨床の仕事というのは「基礎工事に手ぬきをした建物の修復をしている」というようなことがあるから。

いかに大変な作業であり、成果をあげることがどんなに難しいか。

まわりの人もいろんな協力をするけれども、なかなか成果があがらない。

そういう意味でも、乳幼児期の育児がいかに大切なことか…。



この乳幼児の育児は、ひとことでいえば、子どもの要求や期待に、できるだけ十分にこたえてあげること。

こちらから伝えたいことは、「こうするんでしょ、そうしちゃいけないんでしょ」と、おだやかに何回もくり返し伝えればいい。

いらだったり、しかったりする必要はない。

「いつできるかな、いつからできるかな」
それだけのことで、だいたいいい。


ところが育児の失敗というのは、

子どもの要求をうっかり見逃したり、あるいはわざとサボタージュしたり、相手の要求を無視してしまうこと。

そのくせこちらの要求や、期待ばかりを、すぐ成果があがるように強制的な伝え方をしてしまう、賞罰を与え、早くいい結果をだそうとする。あるいは、大人のほうが楽をしようとする。

そういう育児がよくないのに、今日、こういう育てられ方をしている子どもが多くなってきている。


つぎの時代を生きる子どもたちに、十分に愛されることの喜びを与えること、育児はそれで十分なのです。


人間は愛されることから、生きる喜びを感じはじめるのですから。



以上。
佐々木先生は「続・子どもへのまなざし」の中で、
読者の質問に答えてくださってます。

・妊娠中、不安定な時期があったので心配です


とか…。
子育てで悩んでいる方のヒントになると思いますよ。