引き続き有形固定資産のレシピを考えていきましょう。
⑨ 資産除去債務
⑩ 税効果
⑨ 資産除去債務
有形固定資産の問題にからめよく出題されています。
第74回第二問問1 2 より、
X22.4.1 機械装置 60,000,000 取得 定額法 5年償却 残存0
使用後資産除去債務の義務あり。
5年度見積額3,000,000 割引率3.0%
資産除去債務の現在価値: 3,000,000 / 1.03⁵ = 2,587,826
機械装置 60,000,000 / 当座預金 60,000,000
機械装置 2,587,826 / 資産除去債務 2,587,826
X23.3.31 資産除去債務の実現額: 2,587,826 * 0.03 = 77,635 (3,000,000 / 1.03⁴ = 2,665.461)
利息費用 77,635 / 資産除去債務 77,535
本体 減価償却費 60,000,000 / 5 = 12,000,000
資産除去債務 減価償却費 2,587,826 / 5 = 517,565
減価償却費 12,517,565 / 減価償却累計額 12,517,565
X24.3.31 資産除去債務の実現額: 2,665,461 * 0.03 = 77,634 (3,000,000 / 1.03³ = 2,745.425)
利息費用 77,634 / 資産除去債務 77,534
本体 減価償却費 60,000,000 / 5 = 12,000,000
資産除去債務 減価償却費 2,587,826 / 5 = 517,565
減価償却費 12,517,565 / 減価償却累計額 12,517,565
資産除去債務見積の変更の場合
割引率:見積りが減少した場合は従来の割引率を使う
見積りが増加した場合は変更時の割引率を使う
減価償却費は変更分を分けて計算する
今回は見積の減額なので従来の割引率を使う
2,700,000 X 1.03³ = 2,470,882
差額 2,745,425 - 2,470,882 = 274,543(資産除去債務減少額)
資産除去債務 274,543 / 機械装置 274,543
x25.3.31 資産除去債務の実現額: 2,470,882 * 0.03 = 74,126 (2,700,000 / 1.03² = 2,545,009)
利息費用 74,126 / 資産除去債務 74,126
本体 減価償却費 60,000,000 / 5 = 12,000,000
資産除去債務 減価償却費 2,587,826 / 5 = 517,565
資産除去債務調整分 -274,543 / 3 = -91,514
減価償却費 12,426,051 / 減価償却累計額 12,426,051
・取得時:資産除去債務の現在価値を計算する。
資産除去債務計上 有形固定資産/資産除去債務
・資産除去債務の見積変更なし 利息費用計上、有形固定資産本体減価償却費計上、
資産除去債務分減価償却費計上
・資産除去債務の見積変更あり:見積が増加の場合 その変更時の割引率を使用
見積が減少の場合 当初の割引率を使用
当初の見積の現在価値と変更後の見積の現在価値との差額を調整
翌期以降は本体部分、当初の資産除去債務、見積変更後の調整額
でそれぞれ減価償却費を計算し合計額を減価償却費に計上する
・資産除去債務履行時: 実際費用と資産除去債務見積額の差額は「履行差額」として処理
⑩税効果会計
減価償却費 将来減算一時差異 繰延税金資産計上
税務上は、固定資産ごとに耐用年数を法定しており、会計上採用する耐用年数が法定耐
用年数より短い場合に、会計上の減価償却費が法定耐用年数を 超える場合、超えた部分
は税務上損金不算入となる
圧縮記帳 積立金方式 将来加算一時差異 繰延税金負債計上
一定の利益に課税するのを避ける目的で行われる。
国庫補助金収入や保険差益などが、該当する
取得原価の圧縮が行われず、圧縮相当額の利益を任意積立金として積み立てることで、
その分の資金留保を図る会計処理 配当等の社外流出を避けるために積み立てておく 税務上は直接減額方式のため、一時差異が生じる
以上です。
次回は有形固定資産の減損会計がもれているので、取り上げ、最終としたいと思います。
なかなか重たい処理が続きますね。