ユルニダ 1 | クリーチャーガレージキット人間のブログ

ユルニダ 1

駐車場でアルバイトをしていたら
臨時で別の駐車場に回ってくれといわれた。

臨時で入ることになった駐車場は
近日閉店予定だが人員が足りないらしく、
研修期間は2日、
その間に仕事を覚えて
後は一人でやるようにと指示された。

いつも任されている場所は狭くて小さい場所なので
車の出入りは激しくなく、やる事も多くない。
自分は初めてまだ1ヶ月ほどしかたっていないし
さらに週に2回、5時間程しか出勤していなかったので
まったくの素人同然だった。
そんな自分で大丈夫なのかとかなりの不安を抱きつつ
現場に到着すると、そこは繁華街に聳え立つ、
巨大な立体駐車場だった。

あまりに立派なその外観に圧倒され、
こんなところできるかよ・・・という気持ちが
どんどん強くなっていった。
ふと繁華街に目をやると、向こうの方から
まっすぐに駐車場に向かう人影があった。

遠巻きだが、
髪型は耳にかかるくらい長く
少し跳ね返っていており茶髪、
服装は、
ゆったりとした黄色いTシャツとゆるい感じのズボンを
はいており、メガネを着用しているのがわかった。

一見わざとゆるく
オシャレで着こなしていている感じがした。

その人影は、近づくにつれさわやかで気さくな
笑顔になった。

駐車場の敷地に入ってきたので、
この人が研修で教えてくれる人だと思った。

なんか、ヨンさまみたいな人だな。
やさしそうでよかった。

その人はどんどん近づいてきて、
一言こういった。

「だりいいいいいいーーーー。」


近づいてはじめてわかった。
跳ね返っていた髪の毛は
寝癖そのままなだけ。
剃っていない髭が
頬の上の方やのど仏の下等ありえない位置に
まばらに生えており、
ゆったりとしていたように見えたTシャツは
何度も洗濯したせいなのか
首元が婆さんの乳房のように垂れ下がっていて、
色は元の色がオレンジらしく、
色あせて黄色になっており
ところどころオレンジだった頃の濃い色素が残っていた。

腰パンしているように見えたズボンは
実はただのジャージで
腹と腰の間で止めるはずの紐がないらしく、
ただだらしなく垂れ下がり
腰骨の一番広い部分にひっかかり
意図せず腰パンしてしまっていた。

もちろん顔も
みかんの緑色と白に変色したやつのように
グズグズに崩れていて
その上に大きな丸になるまで滴り落ちない汗を
満遍なくびっしりと顔中にかいていた。



「こんにちわーーー。よろしくお願いますムニダ」

先ほどのヨン様だと思ってみてしまったので、
語尾が韓国語のように聞こえ、
それが頭から離れなくなってしまった。


「どうも、よろしくお願いします。
2日しかないようなのですが、出来る限り覚えます」

と言うと

「一個も覚えなくてもイムニダ。
ノンビリがんばろうシムニカ」

と返してきた。

変に無愛想だったりえばっているような人間では
なさそうなので、少し安心したが
初めて会う人種だった。



そして、彼との長い6時間の研修が始まった


つづく