なかよしごっこ | クリーチャーガレージキット人間のブログ

なかよしごっこ

小学生3年生になったばかりの時。

クラスの◎◎クンが授業中、
流行のギャグを言ってみんなを笑わせた。
先生も笑った。

「んもー、◎◎くんったら~~
本当に馬鹿なんだから笑」

それからというもの、
「◎◎クンは面白いキャラクター」
になった。


別の日、△△クンが理科の時間、
昆虫に妙に詳しく、
「△△クンはファーブルみたいだ!」と
クラスの昆虫博士になった。
ファーブルと名づけた××クンも、
「あだ名は××にまかせろ」
というキャラになった。

■■クンは、ビックリマンシールを
コンプリートして人気者。

●●さんは、勉強ができてクラスのお手本。
◇◇クンは体育が出来て頼りがいになる。

クラスの役割をみんな持っていった。


そしてとうとう自分の番が来た。


美術の時「日常の風景を思い出して描こう」という
テーマで絵を描かされた。

模写や「楽しいこと」「おとうさんの顔」
とテーマがしっかりしているものは
みんな同じようなネタがあるので
どんどん描くが、
こういう「日常の風景」という漠然としたテーマは
みんななれていない感じだった。

当然自分も理解はしていなかったが、
その時は思いつくままに

大嫌いな雑巾がけを思い出し、
主観で見える雑巾、手、廊下を
描いて提出した。

どういう訳かそれを先生が気に入ったらしく
「まあ上手!斬新!君は、美術くんだね!」

そういってほめた。


とたんにクラスメートたちは自分に群がり、
ほめてみたり、絵の描き方を聞いてきた。


「はい、今日はここまで。
描き終わらなかったお友達は、
明日までに描いてきてください」


描ききれずに困っていたうちの一人が
「描いてくれる?」
と頼んできた。

別にいいよと引き受けると、
他の明日提出の子供たちも次々と頼んできた。

次の日、
約束どおり人数分の絵を描いて持ってきた。

「ありがとう!」
「さすが美術くんだね!」

絵を見る前からみんな絶賛していた。


しかし、その絵を渡すと口々に
「なにこれ・・・」
「気持ち悪い・・・」
と文句を言い出した。

その子達は、
仕方なく、
自分の描いた、否定したばかりの絵を
提出した。


すると案の定

「なにこれ!誰が描いたの!」

先生は立腹した。


「あいつが描きました」


チクられた。


「なんで友達の宿題をあんたがやるの!
しかも、なんて気持ち悪い絵を描くの!
今後こういう絵は禁止です!」


こっぴどく怒られた挙句、
一日で誰も
自分のことを美術君とは呼ばなくなった。

そればかりか、得体が知れないと
みんな気持ち悪がった。


大好きな絵で
賞賛を得た自分は、
本当の役割をもらえたので最高の気分だった。



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