宇宙戦争 | クリーチャーガレージキット人間のブログ

宇宙戦争

前回までのあらすじ

宇宙人のカバンには、世界を征服するための
スイッチが入っていた。はたして、阻止できるのか!?



宇宙人が強烈な便意から開放され、
茂みから帰ってきた。

そんな宇宙人を、
自分は無言でにらみつけていた。


宇宙人は、驚いた顔でこちらを見つめていたが、
すぐに笑顔になって近づいてきた。

「どしたん・・・プゥ」

宇宙人は質問すると同時に屁をこいた。

本来なら口元が緩む音だったが、
しかし自分はにらむのをやめなかった。




今まで友達だと思っていた宇宙人に、
今は嫌悪感しかなかった。






沈黙に耐えられなくなった宇宙人は

「どしてそんな怖い顔するん?」

と聞いてきた。

当然自分は宇宙人の問いには答えなかった。



カバンの中に入っていたもの。
それを思い出すとこみ上げてくる。

怒りなのか、
悲しみなのか、
はたまた軽蔑なのか。

まだ子供の自分には
それがなにか全く分からなかった。

ただただ、あれほど清清しかった夏の気持ちが、
いつもよりも
何倍も、
ずっしりと重く感じたのを覚えてる。


やはり彼とは住む世界が違いすぎる。



やる事がえげつなさ過ぎた。


今まで一緒に笑って遊んでいたのに、
それを見たら急に裏切られたような気になった。



宇宙人が近づいてくるので、口を開いた。


「おまえ、気持ち悪いんだよ!
カバンの中身のアレ、なんなんだよ!」


すると

「おまえ、カバン中みたんか!
人のもの勝手に見るなんて最低だ!」

と言い返してきた。

「お前いい奴だと思ってたけど、
他のやつらと変わらんな!」
と宇宙人は続けた。



その言葉に逆上した。

次の瞬間には、
ありったけの暴言を、
宇宙人にぶつけた。

汚いのに遊んでやったんだとか、
みんな軽蔑してるだとか、
そんな、言ってはいけない言葉ばかり
だったと思う。



暴言にブチ切れた宇宙人は、
泣きながら震え始め、
遂にこちらに突進してきた。


普段ケンカ慣れしていない自分は、
そのまま簡単に押し倒され、
腹の上にまたがられてしまった。

宇宙人の拳が振り下ろされる!


しかし宇宙人の力は意外にも弱かった。
自分は当時
「ネクロスの要塞チョコ」
を集めていたおかげで
毎日チョコレート三昧でメタボっており、
ガリガリにやせこけた宇宙人とでは
ウェイトに差があったのだ。

彼のパンチはポスポスと
自分のチョコで出来た脂肪の上で
ひ弱な音を立てていた。


しかし宇宙人の怒り狂った形相には
とんでもない迫力があり、
パンチが効かないとみるや、
今度は首絞めに移行した。
喉に手が伸びた時、
本当に殺しに来ているんではないかと思い、
怖くて力があまり入らなくなってしまった。



マウントポジションを取られ、
喉をがっちりと両手で締められてしまった。



それから10年後
自分は格闘技の世界に身をおくことになるが、
この頃知っている闘いの知識といったら
「宇宙刑事ギャバン」の戦闘シーンしか無い。

無論レーザーZビームは出ないので
首を閉められらている状態を抜ける術は全く無かった。



できる事といったら、首に思いっきり力を入れて
それ以上締められないようにする程度だ。



「死ねや!」



気迫とは裏腹に、
力の弱い宇宙人の首絞めはどんどん弱まっていき
気が付くと首を絞めている宇宙人の方が白目を剥いていた。
りきみすぎているのか、
彼の腰が乗っている腹のあたりで、
プリプリと屁の温かみが感じられる。

しかし、こうしていてもラチがあかない。
この状況をなんとか打破できないかと、
あたりを見回した。

!!


あるものが目に飛び込んできた。


自分は弱まった宇宙人を払いのけ、
そのものめがけて走った。


そして、それを宇宙人に向けた。



ぴたりと動きを止める宇宙人。


「おまえ、そんなことすんのか・・・

やめとけよ・・・」



さっきまで凶悪な形相で
首を絞めてきていた宇宙人は、
それを向けた瞬間から、
顔を青くし、両手を前に出して無抵抗の
ポーズをとった。
そして思い出したように肩で大きく息をし始めた。



自分が向けているのは、
あの、ワルサー小便銃だった。





最終回に多分続く