AKB48
毎年、冷房どころか扇風機すら使わなかった
自分とかみさんだが、
今年の夏は赤様がお生まれになられたので
冷房を導入する事にした。
昨日は取り付けの工事の日。
朝早くに工事の人が来た。
工事の人の年齢は50前後だろうか。
痩せ型で、眉間に皺が刻み込まれている
ちょっと頑固そうな顔のおっさんだった。
冷房を設置する部屋には
日中の日差しを回避するために
スダレが垂れ下がっており、
出入りの際はこれをしたから捲り上げなくてはいけないので
若干邪魔だった。
工事のおじさんはスダレを見るなり
「ちっ・・・邪魔だな・・・」
とボソリ。
人の家に来てそういう事おっしゃいますか。
この時点でブチキレそうだったが
今は赤様を授かりお父様になった身、
大人にならなくてはいけないのだ。と言い聞かせた。
それに今は、早く冷房をつけてもらいたかった。
するとおっさん、
今度は部屋に入るなり
でかい荷物の袋を床に「ドスン!」
と乱暴に置いた。
さっきまで外の地面に置いてあった荷物の袋だ。
瞬間、喉元まで怒りの言葉が出掛かったが、
ここも、なんとか頑張って飲み込んだ。
まあ冷房付いたら怒りを冷やしてくれるはずだろう。
それから直ぐ工事のおじさんは作業に入ったが、
その間もなにか小声でブツブツと文句のような事を言いながら
作業を続けた。
部屋で作業が終わるのを待っていた自分は
そのブツブツが聞こえてしまい、
自分の中に蓄積イライラがどんどんたまっていった。
我慢して30分も過ぎた頃だろうか。
「終わった。」と声がした。
やっと終わってくれた・・・
追加の工事料金1500円を
払わなくてはいけなくなったので
しゃがんでいるおっさんに近づこうとした瞬間、
見てはいけないものを見てしまった。
おっさんのかいた大量の汗が、
絨毯にボタボタボタ!と滴り落ちていたのだ。
ガチャン
自分の心でなにかのロックが外れた。
汗を床に落とす。
大変な作業していたので仕方ない。
だが、今は違う。
先程のブツブツでフラストレーションがたまりすぎた
自分には、もう既に我慢のならない行為になっていた。
このやろう!と思い
そのまま襟首をつかむか、
もしくは顔面をサッカーボールキックで蹴り上げようという
勢いで近づいた。
その瞬間である。
「 アイラービューーー♪
アイウォンチューーー♪
アイニージューーー♪ 」
不意に能天気な音楽が大音量で聞こえてきた。
TVから垂れ流され
覚えたくなくても覚えてしまったフレーズが、
怒りで我を忘れそうになった自分の耳に
飛び込んできたのだ。
なんだこれは!!
誰だ!
どこだ!
洗脳ソングを歌っているやつは!
すると、
さっきまでシブく作業を進めていたおっさんが、
あわ、あわ、あわ、とものすごく慌て出して
胸ポケットから携帯を取り出し、
「はい、はい。あ、はい~~。
まだ連絡をしておりません・・
すみませんでしたぁ!」
と甲高い声で謝りだした。
そして、こちらを向いて
満面の作り笑いを一発、ニッコリ。
口の中には、ガタガタに生えた歯が見えた。
その笑顔を見た自分は
おっさんに近づいた勢いそのまま、
急に方向転換したので
スダレに突っ込みそうになった。
かみさんはあまりの音量と、
緊迫した空気に突如流れた明るい歌で
完全に笑いを吹き出していた・・・・
数分後 追加料金を払うと
おっさんは信じられないほど
恥ずかしそうな顔で帰っていった。
夜、設置されたばかりの
冷房で冷えた部屋の中
TVを見ながら家族で食事をした。
流れているTVでは、
AKB48が元気にバラエティー番組に出演していた。
彼女らを見てふと思い出した。
おっさんの世にも不気味な作り笑顔。
なんにしろ、変な揉め事が回避できたのは事実だ。
「ありがとう・・・」
小さい声で、生まれて初めて、
若きアイドル達に感謝した自分が
なにかすごく情けなかった。
自分とかみさんだが、
今年の夏は赤様がお生まれになられたので
冷房を導入する事にした。
昨日は取り付けの工事の日。
朝早くに工事の人が来た。
工事の人の年齢は50前後だろうか。
痩せ型で、眉間に皺が刻み込まれている
ちょっと頑固そうな顔のおっさんだった。
冷房を設置する部屋には
日中の日差しを回避するために
スダレが垂れ下がっており、
出入りの際はこれをしたから捲り上げなくてはいけないので
若干邪魔だった。
工事のおじさんはスダレを見るなり
「ちっ・・・邪魔だな・・・」
とボソリ。
人の家に来てそういう事おっしゃいますか。
この時点でブチキレそうだったが
今は赤様を授かりお父様になった身、
大人にならなくてはいけないのだ。と言い聞かせた。
それに今は、早く冷房をつけてもらいたかった。
するとおっさん、
今度は部屋に入るなり
でかい荷物の袋を床に「ドスン!」
と乱暴に置いた。
さっきまで外の地面に置いてあった荷物の袋だ。
瞬間、喉元まで怒りの言葉が出掛かったが、
ここも、なんとか頑張って飲み込んだ。
まあ冷房付いたら怒りを冷やしてくれるはずだろう。
それから直ぐ工事のおじさんは作業に入ったが、
その間もなにか小声でブツブツと文句のような事を言いながら
作業を続けた。
部屋で作業が終わるのを待っていた自分は
そのブツブツが聞こえてしまい、
自分の中に蓄積イライラがどんどんたまっていった。
我慢して30分も過ぎた頃だろうか。
「終わった。」と声がした。
やっと終わってくれた・・・
追加の工事料金1500円を
払わなくてはいけなくなったので
しゃがんでいるおっさんに近づこうとした瞬間、
見てはいけないものを見てしまった。
おっさんのかいた大量の汗が、
絨毯にボタボタボタ!と滴り落ちていたのだ。
ガチャン
自分の心でなにかのロックが外れた。
汗を床に落とす。
大変な作業していたので仕方ない。
だが、今は違う。
先程のブツブツでフラストレーションがたまりすぎた
自分には、もう既に我慢のならない行為になっていた。
このやろう!と思い
そのまま襟首をつかむか、
もしくは顔面をサッカーボールキックで蹴り上げようという
勢いで近づいた。
その瞬間である。
「 アイラービューーー♪
アイウォンチューーー♪
アイニージューーー♪ 」
不意に能天気な音楽が大音量で聞こえてきた。
TVから垂れ流され
覚えたくなくても覚えてしまったフレーズが、
怒りで我を忘れそうになった自分の耳に
飛び込んできたのだ。
なんだこれは!!
誰だ!
どこだ!
洗脳ソングを歌っているやつは!
すると、
さっきまでシブく作業を進めていたおっさんが、
あわ、あわ、あわ、とものすごく慌て出して
胸ポケットから携帯を取り出し、
「はい、はい。あ、はい~~。
まだ連絡をしておりません・・
すみませんでしたぁ!」
と甲高い声で謝りだした。
そして、こちらを向いて
満面の作り笑いを一発、ニッコリ。
口の中には、ガタガタに生えた歯が見えた。
その笑顔を見た自分は
おっさんに近づいた勢いそのまま、
急に方向転換したので
スダレに突っ込みそうになった。
かみさんはあまりの音量と、
緊迫した空気に突如流れた明るい歌で
完全に笑いを吹き出していた・・・・
数分後 追加料金を払うと
おっさんは信じられないほど
恥ずかしそうな顔で帰っていった。
夜、設置されたばかりの
冷房で冷えた部屋の中
TVを見ながら家族で食事をした。
流れているTVでは、
AKB48が元気にバラエティー番組に出演していた。
彼女らを見てふと思い出した。
おっさんの世にも不気味な作り笑顔。
なんにしろ、変な揉め事が回避できたのは事実だ。
「ありがとう・・・」
小さい声で、生まれて初めて、
若きアイドル達に感謝した自分が
なにかすごく情けなかった。