カラテ 大会出場 その8 | クリーチャーガレージキット人間のブログ

カラテ 大会出場 その8

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その7とその8の間にその1をはさんで・・・


決勝戦 リングに上がる。


相手を見据える。


ガードをあげる俺。


「構えて」



「はじめッ!!!」



主審が開始の声を上げた。
その瞬間 応援の声が、ふっと消えた。


周りには誰もいない。



ふたりだけ。


ふたりの空間。



自分と、相手。




相手しか見えなくなった。
不思議な光景だった。







相手は依然として構えていない。




まったく構えていなかった。





!?


困惑した。




どうするんだ!



ちきしょう!意味がわからねぇ!




こういうときはどうするんだっけ?





そうか。




「来い!!」





相手に合図した。
思い切って虚勢をはったのだ。





自分を奮い立たせるため。




相手は、それに答えるように
猛突進してきた。


一瞬のうちに無数の打撃を受ける。


すごい連撃!


ガードの上から殴ってくる。




これは痛い・・・



あれ?



ふと我に返る。



気がつくと、大声で自分を応援してくれる声が聞こえた。
子供たち、先生、先輩、後輩。



まずい!
反撃しないと!!

声援に答えるように、ひたすらぶん殴った。



するとお互い、ほぼガードがない状態で
ボコボコに殴りあっていた。




あっという間に溜まったのは
ダメージと攻撃を出す疲労感。



疲れでどんどん重くなる
そのうちしびれてくる。


それでも腕や足を動かすと、
今度は意識がどんどん遠くなっていった。




瞬間だった。


一瞬!


相手の足元ががら空きになった。



今!



足を払うように蹴りを放ち、
相手は宙を舞った。


よし!



おおおおおという声援が
自分にビリビリと伝わってきた。



しかし


相手は見事に転がったが、あっという間に跳ね起きて
次の瞬間自分の顔面に蹴りを入れていた。


しまった!すげえ!こいつすげーー!!


お互い、技ありを取る。



コーナーに戻り、仕切りなおし。


大きく深呼吸。

もう疲れたという気持ちと、
ぶん殴りたくてしょうがない衝動が
いったりきたり。




主審の開始!
という声が聞こえるかどうかというところで、
殴り合っていた。
まだいけそうだ。



殴って蹴って、だんだん景色が暗くなる。
水の中にいるように、呼吸ができなくなる。



薄れ行く意識の中


「この人も、この大会の決勝を目指して
自分と同じか、それ以上に練習してきたんだろうなぁ」




と、のんきに考える自分もいる。



不思議な気持ちになっていった。





足を蹴れば顔を蹴られ、

突きを入れれば蹴りを入れられ

ラスト30秒!と最後に聞いてから、
もう何時間もこうしている気がする。




いったいいつまでこれを繰り返せばいいんだろう。


永遠にそれが続くように思えた。



でも、楽しい。



思わず笑ってしまった。




相手も笑っていた。





そして そのまま、意識を失った。







ふっと意識が戻ると、
判定になっていた。



どうやら、最後まで立って殴り合っていたようだ。



そして、立っていることすらままならない状態で、
判定を聞いた。