カラテ 大会出場 その2 | クリーチャーガレージキット人間のブログ

カラテ 大会出場 その2

出場が決まったのは、大会が始まる3週間前だった。

先生の一言で、出場は決まった。



試合用のトレーニングは1~2ヶ月、できれば3ヶ月前から
やっておくのがベストだったので、
この話は結構急だったが、
自分が決心した理由は
「3年やってる自分が新人ってのも変だけど、
これだったら大丈夫かなー」
という甘い考えからだった。



当時、道場が開設されたばかりで、
先生の指導補佐に周っていた自分には、
まだ入門したての人しかいない状況で
レベル的に調度良い相手がいなかった。

先生が一番良い練習相手だったのかもしれないが、
先生は全日本でバリバリ活躍していた現役を引退したばかりで、
先生と自分には
全ての面で全く埋まらない差が大きく開いていた。

骨折、脳震盪、蓄積ダメージ、
試合に出る前に、これらの怪我をおいかねない・・。
おっても、3週間では治るわけが無い。

そしてなによりやられてばかりだと自信がつかない・・・。

そういった意味で、
先生にスパーリング相手をして頂くには、
3週間前ではあまりにも危険すぎた。


当時高校生だった一番見込みのある
(後に高校生全日本大会でベスト4にまで行った)
後輩のO君にミットを持ってもらい、
ひたすらそれを叩く練習をした。

3分間を10ラウンド全力で叩く。
手足が動かなくなるまで叩く。

そして、30秒のインターバルを置き、
その間に出来るだけ深呼吸し、
ありったけの酸素を補充して、
すぐにまた3分間叩く。

それを日に2~3回。

3分は短いようで本当に長い。
攻撃し続けるには、あまりに長く感じる。


最初の2ラウンドくらいで酸欠になって
意識が完全にとび、
いつの間にか10ラウンドが終わっているという
状況が何度もあった。


だが、残念なことに
この練習はあまり効率は良くない。


もっと分数を分け
筋トレや技の研究を混ぜて
バランスよくやるのがベストだ。



実は、効率が悪いことはなんとなく分かっていた。


では、何故こんな事をやったのか。



それは単純に根性がつくのと、
不安を消し去るので手一杯だったからだ。


ミットをがむしゃらに叩くと、
そのつらさで
叩いている間だけ他の雑念が全て消える。


不安。


新人戦とタカをくくっていた自分に
渡されたトーナメント表にあった
対戦するであろう相手のカラテ暦を見たときから
それは始まっていた。

「カラテ暦 7年」
「カラテ暦 10年」
「カラテ暦 5年」


なんだこれは!

話が違う!



じ、自分より大分先輩達じゃないですか・・・


第一回空手道新人戦大会

それは、
過去出場経験があるが
他の道場から移籍してからの
大会がはじめての人だったり、
今まで事情で試合に出れなかった人達の集う大会で、
新人の為の試合というより、
選手の仕切りなおしの大会だった・・・。

気の弱い自分にとって
その不安という文字は、ミットを全力で叩いていないと
消えないほど、大きなものになっていた。