とんでもないオトナ | クリーチャーガレージキット人間のブログ

とんでもないオトナ

3年くらい前の話。


まだ彼女だった妻のマンションの前で
夜中に車を停めてダベっていた時の事。

暗くてよく見えない黒い影になっている人物が車を横切った時、
不意に「ゴリゴリゴリ」という音が
助手席の彼女の方からした。


「なんか、今の人、車をこすって行ったよ」
と彼女が言うので、
降りて携帯のライトで車を見てみると
なにか引っかいたような小さな擦り傷が。

前を向くと、黒い影はまだ普通にスタスタと歩いていたので、
「おい、ちょっと待てよ」と声をかけた。

黒い影は普通に歩き続けているので、
もう一度「おい、まてよ!」
と大き目の声で言った。

明らかに聞こえているはずなのにまだ歩き続ける。

腹が立ったので、側に近づこうと小走りすると、
不意にそいつは走りだした。


あ!やばい!と思ったので、すぐに彼女に
警察に連絡するように言って、追いかけた。


相手は結構早く走るし、
足が遅い自分はあまり体力を使ってしまうと
闘う時にスタミナがなくなってやられる恐れがあるので、
視界に入る一定の距離を保ちながら、追いかけることにした。


しばらくマンションの周りをグルグルと追いかけっこをしてると、
ようやくそいつがとまった。
ゆっくり振り返ると
街頭に照らし出されたそいつの全貌が、
やっと明らかになった。


身長は175~180くらい、
頭はバーコードハゲ、めがね 40~50歳くらいの
典型的なサラリーマンタイプおっさんだった。


振り替えるや否や、
「あんた、やるのか?おい!」
と挑発をして来た。

手元が街頭に照らされると、
そこには
「何種類もナイフとかがついてる便利なキーホルダーのやつ」
の中のペーパーナイフが選択されており
こちらに向けられていた。
あんなんでも切りつけられたら痛いのだろうか!?!?

そのちっさな刃物には恐怖が微塵も感じられなかったので
「おまえ、それで刺すの?」
と、既に出ている腹だが更に突き出してやった。

軽く刺す振りをしたり、振りかざそうとしたりしてるばかりで
何もしてこないうちに、
「やっぱり刺さったら痛そう」と思い始めたので、
腕を捻り上げてやった。
本当は思いっきり顔面をぶん殴りたかったけど・・・

押さえ込んでると、彼女が
「警察読んだよ」ときた。
気が付くと走り回ってるうちに車の凄く近くに戻ってきてたようだ。

押さえ込んでいる間、顔を写メしてたりすると、
「あんた、こんなことしてただで済むと思ってんのか!」
と何故かお叱りを受けた。
押さえ込んでいる間はずっと暴言を吐き続けていたので、
「おまえ警察来てから同じこと言えよ」とだけ言って
こちらは黙っていた。

そんなこんなしてるとかなり早く警察がやってきた。


警察におっさんを渡し、事情を説明していると
とりあえず、謝りたいと言うので再度おっさんがこちらに来る。


「近所に車が止まっていて迷惑だったので、
腹いせに鍵で傷つけました。ご迷惑おかけしました。
すみませんでした」

と謝罪してきたので

「さっき俺に言ったこと言ってみろよ」

と意地悪してやると

「あれは、酔っ払っていて、気が強くなって言ってしまいました。
すみませんでした。」

と素直に謝った。

「ナイフ出した話はした?」

と聞くと、それを聞いた警察が

「あんたナイフ向けたのか!」
と言い、また事情を聞きに連れて行かれそうになったんで
「こっちは怪我もないし、小さいナイフだったんで大丈夫です」
と言った。

とりあえず、彼女の近所の住民だし、
今後もあるので
車の修理代を払うということで示談にすることにした。


そして、そいつの連絡先だといってもらった名刺にびびった。