夜がふけて、神社の境内は人の気はなくなり、真っ暗闇となっていました。

しかし、世乃元之眷族神殿の地下では、モモを始めトビや他の10人の技術者達が広い通信機器やコンピューター機器が一杯並べられたこの通信防犯情報操作部の秘密基地で、チキから命令されたことに取り組んでいた。
先程、井上和香と電話番号やメールアドレスの交換をして、得た井上和香のスマホ内に秘密裏に侵入して、彼女が今日一日、撮った写真の全てを抹消する様に開発したソフトで操作していたのでした。

「モモ、どうですか?
できましたか?」

「できました。
もう完全に消えています。」

「そうですか安心しました。
井上和香ちゃんには認識がないけど、知らぬ間にここの解雷神社の写真が全て、彼女がアップすることで、C国の情報部にインプットされるから、それを防ぐには、これしか阻止のしようが無いんだから・・・。
よく、やりました。
それから、他の計画のソフト開発も進んでいますか?」

「はい、今のところ順調に行っています。」

「分かりました。
それでは私は先生に今日のことを報告して来ます。」

と、言って部屋を出て、神社の奥の廊下を通って、芯の自宅に向かった。
芯の自宅に入ると、何時ものベランダの大きな屋久杉のテーブルを囲んで、松浦とケチン、それにヒミがまだビールやウイスキーを飲んでいた。
コーヒーの良い薫も漂っていた。

「やあチキさん、ご苦労様。」

「まだ皆さん飲んでいたのですか? 」

「チキさん、何か飲まれますか?」

「ヒミさん、貴女は何を飲んでるの?」

「私はコーヒーです。」

「うん、私もうコーヒーがいいな。」

「分かりました。
今入れて来ますからちょっと待って下さいね。」

と、台所に立って行った。

「チキ、お疲れ様。
何か報告事項でもあるんかい?」

チキは、先程の井上和香のスマホ内の写真の記録を遠隔操作して記録を消したことを報告した。

「そうですか、そこまで出来る様になりましたか!
後は外国のSNSのソフトやスパイの機器に侵入して情報記憶を盗み出す操作が出来るか?
ハッカーだね、ただ違うのは情報を盗み出して、その後、相手の記録を抹消させることもやるんだ。
それに当然こちらの操作の痕跡を残さない技法も研究させているよね!」

「はい、御指示の通りです。」

「ところで、チキ、この解散雷神社の敷地内にヘリポートを造れる場所はあるかな?」

  ヘリポート

「えっ?
ヘリポートですか?」

「そう、ヘリポートとヘリの格納庫をここに作りたいと松浦君が言っているんだが!」

「でも、ここにヘリポートを造ると目立ち過ぎるのではありませんか?」

「うん、チキさんの云うことは分かるが、何か起こった時に直ぐに行動する為には我々暴犯部の隊員を動かすには大型輸送ヘリが必要なんだ。
それに天神町ビルの屋上にはあつらえ向きにヘリポートが作られているので、我々専用のヘリを何処かに置いておきたいのだよ。
ここにヘリポートを作れば、先生やチキさん達の移動にも便利になると思うんだ。
目立たない様に普通は只の野原にカモフラージュすれば良いと思うんだが。」

「私も良い案だと思うな!」

と、芯が言った。
こうして、翌日から神社の裏の社叢の一部にヘリポート建設が始まった。
担当者はケチンで、ヘリポートの上に芝生が横から移動して、テニスコートになる様に工夫されていた。
そして横に大型ヘリが二機と小型ヘリが一機収納できる建屋が建造されたのでした。
チキの担当の総本部では、輸送部が設立されて、ヘリ運航免許所持者が3名と、自動車や重機運転の免許所持者を数名募集して集めたのでした。
採用の時は、全てチキが神合わせして、一人一人霊統とミタマ親神を調べて選択して採用したのでした。
こうしてこの秘密部署はまだ名前もなくて、署員だけは、暴犯部が松浦やケチンと隊員50名と合わせて、52名、モモの担当の通信ソフト部がトビとソフト開発者の10人と合わせて12名、チキの担当の総本部に
ヒミと5名の総務員と運送部の8名を含めて15名となり、総勢79名、芯を含めると総勢80名という大所帯となっていたのでした。

ある日、チキに芯が言った。

「そろそろ、この秘密部署の名称を決めたいと思うのだが、そのことと、各部署に神棚を設けて、神界からの担当神をお祀りしたいと考えているのだが、神伺いをしてくれないか?」

「分かりました。
それでは先生が思われる名称や神々の名前を書き出して下さい。
それを元にお伺いしてみますから!」

「分かった。
明日の夕方までに考えておくよ!」

                                                                          (つづく)