外務省からの資料は直ぐに送られて来た。

担当別にその資料を検討して、全体会議にかけて、日本的に手直しする所を直して直ぐにマニュアル作りにかかった。
ヒミはそのマニュアルから予算を作成して、担当者と話し合い、必要な金額を決めて、チキと芯の了解を取って、辻部長の所に行き、資金の調達を依頼したのでした。
資金は解雷神社に浄財の寄付の形で色んな人々の名前で小分けされて入金されて来ました。
全てヒミが管理して、早速、設備の建設に取りかかりました。
モモが持てる力を全て使って、コンピューター化した傍受機器や附属機器の設備がなされた通信防犯情報操作室が完成して、すぐさま、モモが募集して集めた優秀なIC技術者10人をチキが神伺いで選んで使うことになったのです。

通信防犯情報操作室想像図

世乃元之眷族神殿の地下は顔認証と指紋認証声紋認証が会わないと入室出来ない様に設備され、全て監視カメラで見張りをしていました。
部屋の中では、モモが10人のIC技術者と共にモモが考えたソフト開発を行っていました。
一方、芯とチキとヒミは天神町の新築ビルの地下二階の広いワンフロワーの改装現場に来ていた。
ここでは松浦とケチンがあれこれと作業員に支持して、働いていた。

「頑張っているな!
スタッフ募集の方はどうだい?」

「はい、外務省の辻本部長から、県警と、防衛省の高官を紹介して頂き、我々の募集で集まった中から選別してくれるということになりました。」

「そうか、何人必要なんだ?」

「欲を言えば、切りがないのですが、とりあえず50名程は欲しいと考えております。
航空機関連は、板付空港、今の福岡空港の防衛省の航空隊を使用することと、船舶では、海上自衛隊にも話を付けて頂き、こちらでは、実戦部隊のみを要請すれば良いように決まりました。」

「そうか、それは助かるな。」

「このワンフロワー内に作戦本部と実働部隊の実戦技術訓練場と射撃場も造る予定です。
さすがに野戦訓練はここでは無理で、陸上自衛隊の訓練場を借りることになると思うのです。
その話も今、して頂いているところです。」

「よし、分かった。地下三階のフロアーも買い取ることにしようか!」

「何を作るんですか?」

「うん、隊員の個人能力アップのバーチャル野戦訓練場を造るんだよ!」

「えっ?、バーチャル野戦訓練場?」

「そうだよ、映像を使った訓練だ。
モモにソフト開発を指示しておこう。
ヒミ、辻部長に伝えてこの地下三階を買い取る様に頼んでおくれ。」

「分かりました。」

「今日は、5時から我らの仲間関係の向上の為に夕食会を解雷神社で行う予定だから、君達もおいでよ!」

「分かりました。」

「それでは戻ろうか?」

「先生、夕食会の準備は、糸島の前原の寿司やと焼鳥屋に出張出店をたのみましたが、それでいいですか?」

「飲み物はどうする気だね?」

「あっ、いけない!
飲み物を忘れていました。」

「それから、帰りの準備もして置いてくれよ。
飲酒運転で帰すことが無いように!」

「分かりました。
私が前原のタクシー会社と交渉しておきます。
ヒミさん、周船寺駅前のスナックバーに出店の交渉をしてみてくれませんか?」

「あっ、あそこなら、美味しいカクテルも作れるし、いいかもね!
分かったわ。」


夕方の解雷神社の境内は、大いに盛り上っていた。
総勢30人位の宴会だったが、近所の住民も顔を出し参加してて、50人位になっていた。

チキに通信が入った。

『C国の間者に気を付けよ。』

チキは直ぐに芯に伝えて、その人間の特定をするために、見慣れない隣人がいないか観て回った。
チキはモモにも伝えて、密かに探す様に言った。
観て回ったが、それらしい人物の特定は出来なかった。
チキは人祖神々殿に行き、密かに神伺いをしてみた。

「人祖之神様、C国の間者の様子のヒントを何か頂けませんか?」

『若い、学生、女、本人は自覚は無い。』

「ありがとうございました。」

チキは取って帰って、境内で騒がしく夕食会が行われている中で女学生の姿を探したが、学生服の女性はいなかった。
仕方なく、モモと若い女性達の数名に目を付けて、その娘の様子を事細かに記録したのでした。
そして、5人程特定して、近付いて、声をかけて、何気無い会話をして、上と交信して、確認して回った。
三人目で初めて上から、

『この娘。』

という通信が来た。
その娘はこの村の村長の一人娘だった。
今は、東京の大学2年生ということがわかった。
チキは悩んだ!
なぜ、こんな可愛い女学生がスパイとは?
なぜなんだろう?
チキは彼女に飲み物を勧めて、世間話を始めた。

「コロナが大変ですね!」

「はい、そうですね!
ここは大丈夫ですか?」

「東京よりは大丈夫ですよ。」

「私、東京の大学生なんですが、コロナが怖くて里帰りして来たのです。
でもこちらでも、自由に楽しめなくて、寂しい思いをしていました。
今日はこんな催しをして頂きありがとうございます。」

「楽しんでおられますか?
それは良かった。
本当に学生時代の楽しい思い出が作れないですね!」

「はい、去年は楽しい思いを沢山したのですが。」

「まあ、どんな楽しいことですか?」

「去年の今頃は中国旅行に行っていたのですよ!」

「ツワーですか?」

「はい、大学内の孔子学園の募集したツワーです。
楽しかったですよ!」

「大学では孔子学園に入っておられるのですか?」

「いいえ、でも中国から帰国して入りました。」

「なぜ?」

「孔子学園に入っていると特典がいろいろあるのですよ!
単位ももらいやすいと聴いています。」

「そうなの!
そんなに孔子学園は力があるんですか?」

「孔子学園に関係している先生等は沢山お金が貰えているみたいですよ。」

「へえー、中国は金持ちだからね!
貴女はさっきから一杯携帯で写真を取っていたけど?」

「はい私、何時もSNSで色んな写真をアップしているんです。
この写真も今夜アップします。」

「私はこの神社の神主のチキと言います。
貴女のお名前は?」

「はい井上和香と言います。
ここの神社の前の道を下った右の家の娘です。
父はここの村長をしています。」

「ああ、井上村長の娘子さんでしたか!
それでは私達お友だちになって連絡先を交換しません?」

「はい、喜んで。
宜しくお願いします。」

                                                                   (つづく)