祭が終ろうとした時、又、取り継ぎが入った。


『今回の神仕組はオリンポスの丘とこの佐世保の弓張岳に立てた柱とを使い、神の見えない線を繋ぐことだった。
見事に構築出来た。
これで今世界中で無いコロナウイルスのワクチンの為に命を失って「迷う魂」達をここに集めて、神下殿と空間の宮の神々とで作りあげた魂救済の神社、「解雷神社」に送り込むことが可能となった。
その他にまだそなた達には見えぬある神界の癌を抹消するための神仕組のお役にたてる為に、松浦殿、そなたのスマホをお借りすることになること思うので、無理を承知で了承願いたい。』

「何方様でしょうか?」

『満月に住まうもの』

「月之大神様、ありがとうございました。
よろしくお願い致します。」

これで祭は終わった。

「皆、私の云うことを注意して聞いて下さい。
今回、神仕組が新たになされた様だが、かなり大変なことのようです。
それで、ここにいる6名だけの秘密事項として、誰にも云うことを禁止します。
たとえ、親兄妹でも、職場の仲間でも、私が許可する人以外は、これから起こる神仕組みを誰にも明かすことをしないと、今、ここで宣言してくれませんか?」

「分かりました。誓います。」

と全員が手を合わせて宣言した。

「チキ、この祭場をお借りして、この二人に『気の浄め』をいれることができるか?」

と芯が訊ねた。

「お赦しが出た様です。
お二人様、この祭壇の前に正座されて頭を下げて下さい。
モモ、貴女は施光助手を勤めなさい。」

二人がチキに言われた通りにしていると、

「はい 、終わりました。
もういいですよ!」

と簡単に終わった。

6名は来た道を通って帰途についた。
途中の道の駅で夕食の材料を買って帰るのに芯は余念がなかった。
雷山の解雷神社に到着した時、車を降りたチキとモモが悲鳴をあげた。

「どうした?
何が観えるのだね?」

と芯が訊ねた。
この二人が悲鳴をあげたということは、霊視したことに他ならないからだ。
霊感のある、二人しか解らないことだった。

「先生! 神社が霊魂様方で埋っています。」

「そうか、
もう、送ってこられたか?
それでは直ぐに、御膳をお供えして、神々の元遷り担当の神様に引き取って貰いなさい。」

「分かりました。」

チキとモモ達が神社の厨に入ると、もう一人の神通信見習いのトビが台所の隅で震えて小さくなっていた。

「トビ、どうしたの?」

「あっ!
チキ様、助けて下さい。
この御霊達が急に増えて来て、怖くて、」

このトビも霊感があるものだから、溢れ返った魂達を見て震えていたのだった。

「トビ、この魂様方は救霊で来ているのですから、悪さはしませんよ。
さあ急いで御膳を用意して、元遷りして頂きましょう。」

「分かりました。
さあ、トビ加勢して、御膳を用意するから。」

とモモが妹弟子のトビに言って糠漬けを出して切り出した。

その頃、芯と松浦と宮司はベランダでコーヒーを飲みながら、談笑していた。

コーヒー 

そこに宮司の携帯に着信があった。
着信相手を確認して、急いで宮司は応答した。

「はい、宮司です。
お疲れ様です部長!
今は何処ですか?
まだ東京本省ですか?
そうですか、はい、はい分かりました。
御伝えしておきます。
失礼致します。」

「辻部長でした。
明日午前中に帰福するので、先生にお会いしたいと、言われています。
明日の午後1時に博多駅裏の外務省九州地区分署においで願いたいとのことですが?」

「分かった。駅裏の総合庁舎だね?」

「はい、そうです。」

「君達は今日も泊まって行くかい?」

「いえ、今日は帰ります。
ねえ、宮司さん。」

「はい、明日は朝から仕事ですから、帰らねば、いけません。
でも、又、来ていいですか?」

「ああ、良いとも、又、直ぐ来ることになるだろうよ!」

「なぜ、分かるのですか?」

「こう、見えても私は千里眼だから。」

「千里眼?
なんですか?
その千里眼というのは!」

「後でインターネットで調べればいいだろう。
さあ、宮司さん帰りますよ。」

二人が帰って行った後、芯は解雷神社を覗いてみた。
既に神社に溢れていた御霊達はもう消えていた。
芯は神社の社務所に行ってみた。

「早かったな!
もう元遷りは済んだのかい?」

「はい、あっという間に次々と宮に吸い込まれて行きました。」

とチキが言った。

「何処の宮が一番活躍したんだ?」

「あー、はい、普通は第三源流空間の宮が一番多いのですが、
今日は人祖之宮が一番多かったですね!
ほとんどがそうでした。」

「ホウー。人祖之宮がねえ?
じゃあ、やはり、偽ウイルスのワクチン被害者の魂だったんだね!」

「はい、先生がおっしゃる通りです。
全ての魂は、とても息が出来ない様な苦しい態様をしていました。」

「まだ、明日も沢山来ると思うよ、頑張って元遷りさせてあげておくれ!」

                                                                    (つづく)